研究課題
転写因子GATA3は、種々の細胞分化過程で必須のタンパク質である。アレルギー疾患に関与するTh2サブセットの分化に重要であるだけでなく、T細胞分化の種々の過程に関与する。GATA3が制御するTh2サイトカイン遺伝子群、IL-4,5,13は、アレルギー疾患や寄生虫感染に関与する多くの細胞群でも産生され、その発現制御機構は、アレルギー疾患の発症機序を解明するためにも重要である。Th2サイトカイン遺伝子群のGATA3によるエピジェネティック制御を明らかにするため、GATA3遺伝子にFLAGタグを挿入したマウスを作成した。GATA3遺伝子にGFPを融合タンパク質の形で導入したマウスでは、GATA3が非常に不安定になり、T細胞分化の異常が認められることが報告されているが、FLAGタグの場合には正常に分化し、誘導されたGATA3タンパク質は、入手可能な抗GATA3抗体に比し、FLAGタグに対する抗体により、はるかに高い感度で検出された。このマウスを用いて、GATA3結合タンパク質群の解析を進めている。GATA3結合分子の候補として同定した、コリプレッサーRCOR1の欠失マウスは、着床直後に致死となった。T細胞で欠失させた場合、Th1/Th2両サブセットでのサイトカイン産生の減少が見られ、RCOR1の転写抑制活性とは合致しない結果となった。この分子機序の解明を進めている。T細胞ではRCOR1のパラログであるRCOR3も発現しており、shRNAを導入することにより、機能重複の有無を解析している。GATA3結合分子の候補としてZNF131を同定した。この遺伝子の欠失マウスを作製したところ、胸腺におけるT細胞分化において、非常に重要な役割を担っている事が明らかになった。この分子機序の解明をおこなっている。
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Nature Immunology
巻: 12 ページ: 77-85
International Archives of Allergy and Immunology
巻: 152 ページ: 18-21