研究課題
プロテインセリン/スレオニンホスファターゼ2C(PP2C)は少なくとも14 種類の異なった遺伝子産物から成るファミリーを構成しているがが、これまでに5つのメンバー(PP2Cα、PP2Cβ、PP2Cε、PP2Cη及びWip1)が炎症性サイトカイン応答シグナル伝達路の抑制因子としての機能を担うことが我々及び他のグループにより見出された。我々は、これらの内、PP2Cβ及びPP2CεがMKKKであるTAK1を標的とすること、また、PP2CεがTNFα依存性のアポトーシスを担うMKKKであるASK1を負に制御することを報告した。さらに、P19 胚性腫瘍細胞がレチノイン酸依存性に神経細胞に分化する過程で、TAK1-MKK4-JNK の活性化が必須の役割を果たすこと及びTAK1 の負の制御因子であるPP2Cεが、神経分化の抑制因子として機能することを報告した。これに加えて、最近、我々はPP2Cεが小胞体(ER)膜貫通性のタンパク質であり、セラミド輸送タンパク質であるCERTを脱リン酸化することにより活性化することを見出した。内在性のPP2Cεの見かけ上の分子量は、臓器によって異なっており、脳に発現するPP2Cεの分子量が一次構造より推測される40kDaであるのに対し、肝臓のPP2Cεはより高分子量(約50kDa)を示す。肝臓より精製したPP2Cεをホスファターゼで処理しても分子量が変化しないため、この高分子量化はリン酸化によるものではないことが分かっていたがその実体は不明であった。今回我々は、培養細胞で発現させたPP2Cεをトリプシン消化後、質量分析を行うことで同タンパクがユビキチン化されていることを見出した。現在、内在性のPP2Cεもユビキチン化を受けているのかどうか、およびPP2Cεの機能におけるユビキチン修飾の役割を検討している。
2: おおむね順調に進展している
PP2Cεの調節メカニズムについて検討し、同タンパクがユビキチン化されていることを見出した。
PP2Cεの調節メカニズムについては全く不明である。同タンパクの制御機構に関して、ユビキチン化の役割を解明をユビキチン化部位の同定およびその変異体の作製を通じて明らかにしていく。
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Biochem J
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DOI:10.1042/BJ20121201
FEBS Lett
巻: 586 ページ: 3024-3029
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