「目的」ステロイドの抗炎症作用の本体として抗炎症タンパク質が注目されているが、その機構は明らかにされていない。好中球の細胞質中で刺激物に依存してCa++依存性に酸性リン脂質に可逆的に会合するAnnexin 1もステロイドにより発現誘導される抗炎症蛋白であるが、その生理機能は明らかでない。Annexin 1の生理機能を解析するため、本研究では、その細胞内結合タンパク質を同定し、その機能を解析した。 「方法」Annexin 1結合タンパク質は抗Annexin 1特異抗体を用いた免疫沈降法により検出した。特に、Annexin 1 Tgマウスにエンドトキシンショックを誘導して、炎症時に特異的に結合するタンパク質の同定を試みた。 「結果」エンドトキシンショックによりAnnexin 1の発現が上昇するが、これまで同定してきたタンパク質と違う新たな結合蛋白質を検出した。免疫沈降法により、NF-kBのサブユニットであるp65と結合することが判明した。p65は、Annexin 1と結合し、その核移行が阻害される傾向がみられた。したがって、アネキシン1Tgマウスがエンドトキシンショックでの生存性が高いことやサイトカインの放出が低いのは、これらの結合が背景にあるものと考えられた。今後、結合性のメカニズムを詳細に検討することでアネキシン1の抗炎症機構の解明につながると考えられる。
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