研究課題
「目的」ステロイドの抗炎症作用の本体として抗炎症タンパク質が注目されているが、その機構は明らかにされていない。好中球の細胞質中で刺激物に依存してCa++依存性に酸性リン脂質に可逆的に会合するアネキシン1もステロイドにより発現誘導される抗炎症蛋白であるが、その生理機能は明らかでない。炎症局所に遊走する好中球は、アネキシン1を多く含み、炎症細胞として自然免疫系に果たす役割は大きい。好中球は活性酸素を産生するだけでなく、近年、新しい生理機能として、extracellular trapをおこして生体防御機能をはたすことも知られている。本年度は、好中球でのアネキシン1の発現が、麻酔薬により増強することおよび好中球の新しい生理機構であるektracellular trapにおけるアネキシン1の機能を解析した。「方法」麻酔薬として、プロポファールを用いた。培養細胞であるHL-60細胞に添加し、その発現の海を解析した。さらに、好中球は、末梢血好中球および口腔内好中球を健常人から採取し使用し、刺激あるいは無刺激下でのアネキシン1の発現およびextracellular trapにおけるアネキシン1の分布を解析した。「結果」エンドトキシンによりアネキシン1の培養細胞内での発現が上昇するが、麻酔薬であるプロポフォールを前処理するおアネキシン1の発現が増強され、炎症性サイトカインの発現は低下した。従って、プロポフォールは、抗炎症タンパク質を誘導し、炎症ストレスを軽減させる可能性が示唆された、また、extracellular trapにおけるアネキシン1の分布を解析した結果、extracellular trapの進行にともないアネキシン1の分布は、一度核に移行し、その後、細胞外へと放出されることが判明した。以上の結果から、アネキシン1の抗炎症機構の解明につながると考えられる。
3: やや遅れている
4月に大阪市立大学から鈴鹿医療科学大学に移動し、実験室の立ちあげからおこなったため。また、遺伝子改変マウスなどを移設する手続きなどに時間と労力をようしたため、やや計画と遅れることとなった。
ほぼ、実験室の立ち上げは終了しており、今後の研究遂行は可能である。
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