研究課題/領域番号 |
22590289
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
富永 眞一 自治医科大学, 医学部, 教授 (70155571)
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研究分担者 |
為本 浩至 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90292630)
早川 盛禎 自治医科大学, 医学部, 講師 (30326847)
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キーワード | タンパク質 / 免疫学 / シグナル伝達 / アレルギー疾患 / リガンド |
研究概要 |
1.表面プラズモン解析を用いたST2とIL-33の結合の強さの検討 ST2の78Alaタイプと78Gluタイプの機能に差があるか検討するためリガンドであるIL-33との親和性をBIACOREを用いて検討した。FLAG抗体をチップに固定し、FLAGタッグをつけたIL-33を結合させ、これに対してST2をアナライトとして結合させる方法では78Alaタイプ、78Gluタイプともに結合を認め、親和性の大幅な差は認められなかった。より精密に親和性を測定法するためには、複数の濃度でST2を反応させる測定法を必要とするが、使用しているBIACORE1000ではチップの再生を必要とする。様々な方式を検討したが、条件設定が困難であったため、シングルサイクルカイネティックス測定の可能な機種を利用する方法を模索した。国内の研究所を検索した結果医科学研究所の津本教授との共同研究を依頼することとなった。 2.ST2遺伝子多型がIL-33シグナル伝達経路に及ぼす影響の解析 遺伝子多型により細胞外領域の1アミノ酸が異なる2つのタイプのヒトST2Lをクローニングし、哺乳動物細胞用発現ベクターを作製した。このST2L発現ベクターを、浮遊系のヒト培養細胞HeLaS3またはHL-60に導入し、発現細胞株の作製を試みたが、フローサイトメトリー法でST2Lを検出可能な細胞株は得られなかった。そこで、マウス胸腺腫由来EL-4細胞を用いて、ヒトST2Lを常時発現する細胞株を樹立した。 3.研究過程で新たに判明した現象 ST2Lは細胞膜結合型のIL-33受容体であるが、これを発現する細胞からその細胞外部分が培養液中に放出されることが明らかになった。78Alaと78GluタイプのST2Lで比較したところ、78Gluタイプの放出が多いことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)当講座に設置されているBIACORE1000が第一世代の機器であり、カイネティックス解析能に限界があることが判明した。 (2)ヒト由来細胞を用いてヒト受容体型ST2Lを常時発現するstable transformantを樹立しようと努力したが、細胞の相性が悪いためか成功しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
(1)シングルサイクルカイネティックス測定の可能な機種を利用する方法に転換することにした。国内の研究所を検索した結果医科学研究所の津本教授との共同研究を依頼することとなった。 (2)昨年度にマウスの細胞を用いて樹立したヒトST2L発現細胞株を用いて、IL-33刺激後のMAPキナーゼやNF-kappaBの活性化と、各種サイトカイン遺伝子の発現変化を、ウエスタンブロット法およびリアルタイムPCR法により調べる。
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