研究課題
ヒトST2遺伝子産物には、細胞外領域に相当する78番目のアミノ酸がEまたはAになる2つのタイプがある。このアミノ酸変異は、リガンドであるIL-33の結合領域に相当する。本研究では、78番目のアミノ酸の違いが、(1)IL-33とST2の結合の強さに影響するか、(2)IL-33シグナル伝達系に影響するかについて調べた。(1)分泌型のST2の全長(A78タイプとE78タイプ)にV5エピトープタグとヒスチジンタグをつけたタンパク質をHEK293細胞で発現させニッケルカラムでST2を精製した。IL-33はT7タグとヒスチジンタグ付きで大腸菌で発現し、同じく精製した。IL-33をCM5チップに固定した場合は、アナライトのST2をはがしてチップを再生する過程に問題があり、正確な計測ができなかった。アナライトをはがす操作なしに計測できる装置をもつ医科学研究所の津本教授の研究室に測定を依頼した。E78タイプがA78タイプよりKdが約3倍大きいという結果であった。(2)E78タイプとA78タイプをコードするヒトST2L発現ベクターをマウス胸腺腫由来細胞にトランスフェクションした後、抗生物質を用いてST2L発現細胞のクローンを選抜した。ヒトIL-33でST2L発現細胞を刺激した後、経時的なMAPキナーゼとNF-κBの活性化をウエスタンブロット法により検出した。リン酸化されたJNK、p38、ERK、およびリン酸化されたNF-κBp65は、E78タイプとA78タイプのいずれにおいても、刺激15分後から検出され、その後徐々に活性化は減弱した。しかしながら、E78タイプとA78タイプにおけるIL-33シグナル伝達経路の活性化に明確な違いは認められなかった。これらの結果から、78番目のアミノ酸変異は、IL-33シグナル伝達系に影響を及ぼさないことが示唆された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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