研究概要 |
1)進捗状況(研究遅延):平成22年度には、研究代表者の病気事由により、実験を中断せざるを得ず、研究計画の見直しと縮小を行い、主な実験課題を翌年度繰り越しとした。さらに、平成23年3月以降、東日本大震災の影響下で、研究環境は23年度前半、長期間悪化した。特に、本研究の主な研究材料である遺伝子改変マウス繁殖群の大幅縮小を余儀なくされた。そのため実験再開は大幅に遅延した。 2)情報収集・執筆:平成23年度後半は、TRPチャネル研究や軟骨細胞分化とメカノセンシングに関する研究動向を探索すると同時に、急速に進むバイオインフォマティクス分野の情報から、本研究で焦点を当てているMtap7dlの機能について検索した。また、著書「Mechanosensitivity in Cells and Tissues No.6.Mechanically Gated Channels and mechanisms of their regulation-Springer,2012予定,Kamkin & Kiseleva(eds.)」の章を共同執筆した。 3)新実験場所の整備:平成23年3月、大学内で実験研究場所異動となり、それに伴い元施設でのマウス飼育を中止した。22年度繰越予算の一部を本課題実験に必須の機器購入に充て、研究環境の整備に向け、新実験室の設備拡充を図った。また、大学内共同施設内にマウス飼育場所を申請確保した。 4)平成23年3月に、研究代表者が作製・維持繁殖・解析してきたMtap7d1遺伝子改変マウス系統(正式名称:B6.Cg-Mtap7d1^<tml>)を、独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター(RIKENBRC)に系統寄託した。本マウスは遺伝子資源としてRIKENBRCで長期安定保存され、近く、研究材料として、広く国内外の医学・生命科学研究者に無償(輸送料等の実費負担のみで)提供される予定である。このマウス系統は、これまで未解明部分が多い軟骨形成および軟骨とメカニカルストレスについて新たな知見を得るのに好適なツールとして活用されると考えられる。 今後、RIKENBRCからB6.Cg-Mtap7d1^<tml>を再導入し、繁殖後、胎児解析および初代軟骨細胞培養等の実験再開を予定している。
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