研究課題/領域番号 |
22590291
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
水野 敦子 自治医科大学, 医学部, 助教 (30364532)
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研究分担者 |
天野 均 昭和大学, 歯学部, 准教授 (90212571)
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キーワード | 分子病態 / 軟骨 |
研究概要 |
TRPV4チャネルは、低浸透圧・メカニカルストレス・温熱等の物理刺激で一過性に開口する陽イオンチャネルで、メカニカルストレス応答がよく知られている骨組織において圧感知受容体の重要分子としての生理機能が示唆されている。 研究代表者らは、特に軟骨細胞増殖・分化とTRPV4との関連に注目し、TRPV4ノックアウトマウスの表現型解析を継続している。その骨格異常については解析結果の一部を2012年12月発刊の著作にて公開した。 また、軟骨細胞の分化におけるマスター制御因子Sox9はTRPV4チャネルの下流での機能が推察されている。そこで、TRPV4欠損マウス等を材料に用い、TRPV4およびSox9その他軟骨細胞関連因子の発現解析を他大学と共同で行っている。 一方、研究代表者らが新たにTRPV4との相互作用の可能性を見いだした分子Mtap7d1(本課題での旧表記、Map7R)は軟骨細胞で高発現している。代表者自ら作製したノックアウトマウスは、その育種成績と表現型解析から、欠損ホモ個体では致死であった。それらは出生直後に無呼吸で死亡し、主要臓器での異常は現時点では特に認められていないが、骨格解析から軟骨の低形成が全例で確認された。 Mtap7d1はその推定アミノ酸配列から、細胞骨格に関わる分子ファミリーに属する未報告の分子と推定され、軟骨細胞の増殖分化に関わる新たな重要分子であることが示唆された。細胞内におけるMtap7d1分子動態の解析を目的に、既に作製済みのN末抗体に加え、今回新たにC末抗体を作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者は、職場労働環境の変化および代表者自身の健康上の理由から、従来職場での本課題の実験研究が実施困難な状況に陥った。そのため23年度経費を翌年度に繰り越し、24年度春より実験実施場所を大学内の他講座ラボに移して研究再開を目指した。移動に伴い実験に必要なシステムの再構築(実験器具・試薬類の購入とセッティング)が必要となり時間を費やした。 また当初計画していた他大学施設での初代軟骨細胞培養と軟骨細胞への負荷実験は、研究代表者の体調不良により中止した。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに蓄積した新規の実験データを基に知見をまとめ、研究代表者の病状の回復を待って再投稿を目指す。同時に、Mtap7d1遺伝子欠損マウス(RIKENBRCへ22年度に寄託済み)に関する軟骨細胞解析研究は、知見の公開もしくは研究課題の委譲について検討を進をめる予定である。
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