本年度の第一課題であるビタミンDによる膵臓での新規標的遺伝子のスクリーニングを行った。 1)野生型マウスにビタミンDを経口投与し、その14時間後、膵臓を摘出し、総RNA抽出を行った。総膵臓RNAをcDNAに逆転写したのち、外分泌細胞及び内分泌細胞のマーカー遺伝子の発現レベルの変化をリアルタイムPCRで調べた。ビタミンD経口投与により、外分泌細胞のマーカー遺伝子であるelastase、amylaseまた内分泌細胞のマーカー遺伝子であるインスリン、グルカゴンなどの発現レベルは変化を受けなかったが、摂食調節ペプチドPYYの発現レベルは増加した。PYYは小腸に多く発現するとの報告から小腸におけるPYYの発現レベルを検討したが、ビタミンD投与による発現増加は認められなかった。このことから、PYYは膵臓における新規ビタミンD標的遺伝子であると考えられた。 2)ビタミンDによる膵臓におけるPYYの発現誘導がVDR依存的であるか否かを明らかにするために、野生型マウス及びVDR欠損マウスに(1)と同様の実験を行った。その結果、野生型で見られたPYYのmRNAの増加はVDR欠損マウスでは全く認められなかった。これことから、ビタミンDによる膵臓におけるPYY発現増加はVDR依存的であると考えられた。 3)膵臓組織免疫染色の受託解析を行った結果、(1)及び(2)で得られた同様の結果が得られた。
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