研究課題/領域番号 |
22590296
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
永井 尚子 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 助教 (00367799)
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研究分担者 |
木全 弘治 愛知医科大学, 名誉教授 (10022641)
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キーワード | ヘパラン硫酸 / 糖鎖 / 甲状腺ホルモン / 甲状腺 / エネルギー代謝 |
研究概要 |
平成23年度において申請者はHs6st2ノックアウトマウスにおける甲状腺ホルモンの動態の解析を行った。マウスより血清を採取し、TSH(甲状腺ホルモン刺激ホルモン)、TT4(total T4)、FT4(free T4)の血清濃度をELISA法により解析したところ、5ヶ月齢のオスHs6st2ノックアウトマウスにおいてTSHの有意な増加、TT4、FT4の有意な減少が観察された。さらに野生型マウス、Hs6st2ノックアウトマウスの甲状腺組織を組織学的に検討した。甲状腺の大きさや形は野生型マウス、Hs6st2ノックアウトマウスの間で差が観察されなかった。またHematoxylin-eosin染色を行った結果、野生型マウスとHs6st2ノックアウトマウスの間で明らかな変化は観察されず、濾胞の大きさや数についても有意差はなかった。また、抗サイログロブリン抗体を用い免疫染色を行ったところ、野生型マウス、Hs6st2ノックアウトマウスの濾胞に同程度の染色が観察された。したがってHs6st2ノックアウトマウスの甲状腺は野生型マウスのと組織学的に変化がないと考えられた。 甲状腺のヘパラン硫酸組成解析を2糖解析法により行った。野生型マウス、Hs6st2ノックアウトマウスそれぞれ6匹のマウスより甲状腺を単離し、6匹分をまとめて分析した。その結果、ΔDi-6S、ΔDi-(N,6)diSの含有量は同じであったが、ΔDi-(N,6,2)triSが約25%減少していた。 マウスより単離した褐色脂肪細胞を用い、FGF19とFGF21のシグナル伝達におけるヘパラン硫酸依存性の検討を行ったところ、ヘパリチナーゼIで処理した褐色脂肪細胞ではFGF19およびFGF21の下流シグナルであるリン酸化ERK量が減少していた。このことからFGF19、FGF21のシグナル伝達へのヘパラン硫酸の関与が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Angptl6の発現は成功したものの、褐色脂肪細胞におけるAngptl6依存性のシグナル活性化の再現性がとれず、HS依存性の検討に至っていないが、Hs6st2ノックアウトマウスにおいて甲状腺機能低下を観察し、エネルギー代謝低下の原因を特定に至った。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画ではHs6st2ノックアウトマウスにおいて中枢神経系からの分泌ホルモンが変化している可能性を考えていたが、Hs6st2ノックアウトマウスでは甲状腺ホルモン量(Total T4,Free T4)が減少していることが判明した。したがってHs6st2ノックアウトマウスでは甲状腺機能の低下が加齢による肥満を引き起こしていると考えられる。今後は中枢神経系よりもむしろ甲状腺に焦点を当て、甲状腺ホルモンの分泌低下にいたる原因を組織や細胞を用いて解明していきたいと考えている。
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