研究概要 |
乾癬感受性遺伝子領域において、今年度はさらに遺伝学的解析を進めた。これまでの解析に用いてきた試料は日本人検体であったが、他の人種における追試験を実施することとした。そこで、今回は韓国人乾癬ならびに健常者検体を用いた。日本人集団において強い関連を認めたマイクロサテライトについて、この検体を用い解析したところ、日本人集団よりもはるかに強い関連を見出した(OR=19.9)。これまでに報告されているすべてのGWAS (Genome-wide association study) のオッズ比の中央値が1.33であることを考慮すると、極めて強い関連である。 続いて、感受性遺伝子座を特定するために、ハプロタイプ解析を行った。まず、この遺伝子座を中心に、疾患のリスクハプロタイプがどのくらいの長さを有するのか、Extended Haplotype Homozygosity (EHH)により評価した。その結果、日本人集団で少なくとも2.5Mb以上、さらに韓国人集団では4Mb以上に渡って長いハプロタイプが存在することが明らかとなった。また、同じ重複する領域に、それぞれ少なくとも日本人で2種類、韓国人で3種類存在することが明らかとなった。驚くべきことに、韓国人における1つのリスクハプロタイプはそのオッズ比が実に35.5(頻度:患者 5.7%, 健常者0.17%)と極めて高い値を示した。 極めて強い乾癬との関連を示す長いハプロタイプが見出されたことから、まだ理由は明らかではないが、このハプロタイプ中に存在する何か複数の要因が協調して、乾癬発症に寄与していると考えられた。今後は次世代シークエンサーを用いた解析により、今回の研究で明らかにした、各ハプロタイプ全長をシークエンシングすることで、感受性変異が捕らえられると期待している。
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