研究概要 |
肺腺癌浸潤に関わるママクロRNAを同定するため、検索の対象として適切な小型肺腺癌30例を抽出し、それらのホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)標本からマイクロダイセクションを行い、浸潤部および非浸潤部につき、文献から予測される数種の候補マイクロRNAにつき定量的PCRを行った。その結果、浸潤関連マイクロRNAの絞り込みを行い得るとともに、EGFR変異陽性癌と陰性癌との間での違いも確認できた。一方、凍結保存切片からマイクロRNAマイクロアレイでの検索を施行するための適切なマイクロダイセクションおよびRNA抽出方法の検討を終了した。これらの方法とともに本研究ではISH(In situ hybridization)による検討も予定している。LNAプローブを用い、代表的な癌関連マイクロRNAであるmiR21についてのISH条件検討を肺腺癌FFPE標本で行ったが、いまだに適切な染色条件を得るには至っていない。FFPE標本でのマイクロRNA-ISHは安定した結果を得ることが困難である可能性がある。したがって、凍結検体での検討が必要と考えられ、現在凍結検体でのISHを検討中である。 当初の研究計画には含まれていなかったが、マイクロRNA生合成過程での異常も癌の進展に関与するという知見があることを考慮し、このプロセスに関与するDicer,Drosha蛋白の検索を免疫組織化学を用いて行った。また、これらの因子の肺腺癌浸潤や臨床病理学的諸因子との相関も検討した。
|