研究課題/領域番号 |
22590312
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
岡 剛史 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50160651)
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研究分担者 |
大内田 守 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80213635)
吉野 正 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70183704)
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キーワード | ATL / マイクロアレイ / エピジェネティックス / miRNA / ポリコーム / ヒストン修飾 / DNAメチル化 / 悪性リンパ腫 |
研究概要 |
成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)の発症機構をマイクロアレイ等による包括的網羅的解析によりDNAメチル化状態、ヒストン修飾状態、miRNA発現、ポリコーム遺伝子群、クロマチン構造変換等エピジェネティック異常の観点から患者検体・培養細胞・動物モデル等を用いて解析する。本研究はこれまでの我々の成果をふまえ、更に発展させ造血器腫瘍のエピジェネティック異常による発症機構を詳細に解析することが目的である。現在、ATLLをはじめとする様々なタイプの白血病及びMALTリンパ腫,NK/Tリンパ腫をはじめとする各種リンパ腫・白血病の患者検体が臨床の医師の御協力の下に集まってきている。本研究ではこれらの検体中からATLLに集中して詳細な解析を行った。その結果急性型ATLLとリンパ腫型ATLLにおいては特異的に発現パターンが異なる遺伝子群が同定された。これらの遺伝子群は病型特異的な病態との関連が強く示唆され統計的な解析により有意に臨床検査パラメータとの相関を示した。特にSHP1、DAPK,HCADのメチル化は遺伝子発現とよく対応し病態の変化と有意な相関を示した。急性型ATLLとリンパ腫型ATLLなど病型のちがいが何によって引き起こされているのか,さらに急性転化が起こるときに引き金になっているジェネティックあるいはエピジェネティックな変化は何か多くの患者検体を用いてより詳細に検討を進めつつある。更に高悪性型(急性型及びリンパ腫型)ATLLと低悪性型(くすぶり型及び慢性型)ATLLとの間でmiRNA発現をマイクロアレイで解析し特徴的な変化を示すmiRNAを同定した。現在その一つのmiRNAの機能解析を進めつつある。またポリコーム(PcG)遺伝子群の悪性リンパ腫・白血病に於ける発現について解析を進めBmi1遺伝子及びEzh2遺伝子について興味深い発現異常を見いだしている。現在更に詳細な解析を進めつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々はマイクロアレイなど様々な方法を用いATLLの発症・進展に伴うDNAメチル化異常を定量的に解析することに成功している。更にmiRNAの異常発現、ポリコーム遺伝子群の腫瘍化に伴う異常発現など興味深い知見を得ている。現在更に機能解析・情報伝達経路解析の段階に入っているが,当初の予定どうり順調に進展していっている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、当初の予定どうり順調に研究計画が進んでいる。特に研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点はない。予定どうり研究を推進させていく。
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