研究課題/領域番号 |
22590315
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中川 和憲 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50217668)
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研究分担者 |
古賀 孝臣 九州大学, 大学病院, 講師 (70380615)
岡野 慎士 九州大学, 大学病院, 臨床助教 (10380429)
鬼丸 満穂 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (00380626)
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キーワード | 血管リモデリング / 内皮細胞 / VEGF / 脈管新生 / シグナル伝達 / センダイウイルス / Tie1 / 動脈硬化 |
研究概要 |
本研究では、血管の恒常性破綻と病的血管リモデリングの分子基盤の解明を目的に、血管病変発症過程や内皮細胞のシグナル伝達・調節機構について検討し、主に以下の成果を得た。 (1)内皮細胞機能の修飾の分子病態解析として、Cucurbitacin IによるSTAT3障害は、血液凝固の開始因子である組織因子(TF)発現を誘導するほか、血管新生因子VEGFによるTF発現誘導に相乗効果をもたらした。このことから、恒常的STAT3シグナルは、抗血栓的機能の維持に重要な役割を果たしうることが示唆された。内皮細胞に発現するTieファミリーについて、一方、機能不明のTie1の生理学的役割について、Tie1シグナルが血管内皮細胞でのVEGFによるp42/44MAPK(ERK1/2)シグナルに影響し、内皮細胞の成長因子下流でシグナルの感受性制御に関わる可能性を示唆した。また、増殖性網膜症や黄斑浮腫を伴う糖尿病患者では非糖尿病患者比べ可溶型Tie2が有意に高値で、Tie2の可溶型変換が血管の成熟安定化制御に関わることをin vivoでも実証した。 (2)アテローム動脈硬化血管の発生初期病態解明のため、九州大学剖検症例のうち若年者症例(55歳以下)ついて右冠状動脈を採取し、凍結標本によるアテローム動脈硬化初期病変の病理形態的選別をおこなった。対象例33例のうち、24例が解析対象となる正常血管(び慢性内膜肥厚:DIT)あるいは軽度の硬化病変例であり、内訳はDIT(3例)、タイプI(8例)、タイプII(5例)、タイプIII(8例)で各群の年齢構成に統計的有意差はなかった。血管傷害因子としての酸化脂質や、アポトーシスシグナルの時空的局在について条件設定を終えたが、本年度は解析途中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動脈硬化発症機構の解析のための、若年者の人体冠状動脈標本の症例が少なく解析予定の要因について統計的検証に至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
細胞生物学的、分子生物学的解析は従前どおり進める。不足している人体冠状動脈標本については、九州大学病院以外の病院・大学にも標本提供協力を要請し、各倫理委員会の承認を取得手続きを進める。手続きが先行する分については、順次許諾・認可を得ており症例対象標本を集積の見通しがたちつつあり、これにより初期標本、特に不足しているび慢性内膜肥厚症例の蓄積を計り、血管傷害要因について解析を終える方針である。
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