・膵管癌の早期診断を目指し、前浸潤癌を含む膵管癌の早期像についての解析を進めている。 ・浸潤性を示す膵癌組織(膵管内腫瘍由来の浸潤癌を含む)から、その膵管内腫瘍成分と浸潤癌成分におけるmicroRNA発現の違いを比較検討するために、ホルマリン固定パラフィン包埋切片からmicroRNA解析に必要なRNAの抽出をコンスタントに行えるようトライアルを行ってきた。初年度に得られたマーカー候補のmicroRNAの解析を行うとともに、それに加えて培養細胞での検証を行い、さらに浸潤癌のみならず浸潤部の間質線維組織(cancer related fibroblast)においても解析する。 ・以上のmicroRNAを抽出、解析と並行して、上記と同様のパラフィン包埋ブロックから、特製のガラススライドに薄切検体(12μm)を貼り付け付け、浸潤部と非浸潤部のタンパク質発現の違いを網羅的に解析するために顕微質量分析装置を用いた解析を行った。現時点までの結果では、両者の特徴を明らかにするほどの解析ピークが得られていないが、今後は腫瘍量の多い検体での解析を試み、最終的にはmicroRNA解析結果との比較検討を行う。 ・膵癌の早期像を明らかにする目的で外科切除された術前未治療の腫瘍最大径2cm以下の小膵癌(ts1)について臨床病理学的な検討を行った。その結果、これまで報告してきた結節内の膵管内乳頭状成分の存在に加え、ts癌では高頻度に主膵管壁に弾性線維増生が見られることを明らかにした。膵管壁が必ずしも破壊されていない状態でも見られており、腫瘍と間質との何らかのインタータクションが示唆された。
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