研究概要 |
膀胱癌は通常、組織学的異型度に従い3種類に分類される(G1=papillary urothelial neoplasms of low malignant potential (PUNLMP), G2=low-grade, G3=high-grade papillary urothelial carcinomas)。膀胱癌の異型度が増す過程が、テロメア短縮によるテロメア機能不全と染色体の不安定性が一因であることを証明することを目的としてこの実験を計画した。 H22, 23年度は前記3種の乳頭状癌の初代培養細胞の各染色体別テロメア長をQ-FISH 法(分裂中期染色体の184個のテロメアを測定)を用いて測定し、染色体ごとのテロメア長の変化を解析した。各異型度を示す癌から細胞を用い(同じ癌からでもカリオタイプにモザイクあり)、細胞群中で2n=46 のカリオタイプを示す細胞のテロメア長が異型度(G1>G2>G3)の順に短縮することを証明し、テロメア短縮による染色体異常の発生との関連を明らかにしました。染色体の本数についても異型度が進行するに従い有意に増加し、G1群においては全てが2n=46でありました。また異型度別に染色体不安定性の指標であるアナフェースブリッジ(AB)の出現頻度を比較解析した結果,テロメア長と有意に相関してABの出現頻度が増加することを明らかにしました。 H23年度の病理学会(4/28-30、横浜)において発表しました。 H24年度には、特定の染色体(9番、11番、18番、X)についてABへの関与についてホールクロモゾームペインティングで検討したが特記すべき結果が得られなかった。テロメア光度と組織型、テロメア光度と染色体数の関係を明らかに出来たことを主題にして論文を作成しアクセプトになった(Urol Oncol 2013; in press)。
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