研究課題/領域番号 |
22590333
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
出射 由香 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (90464271)
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研究分担者 |
北澤 理子 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00273780)
北澤 荘平 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90186239)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 中皮腫 / エピジェネtィクス / 遺伝子プロモータ / DNAメチル化 / 組織学的2相性 / E-カドヘリン |
研究概要 |
エピジェネティクス制御機構は、再生医療、分子標的治療へと展開しているポストゲノム時代の重要な研究課題である。本研究課題では、アスベスト曝露後の悪性中皮腫に焦点を当てて、酸化的ストレスとDNAメチル化集積との関連についての解析するものである。 病理組織学的に中皮腫の2相性、即ち、上皮様配列を示す成分と、紡錘形肉腫様成分とが混在する特徴に着目して、中皮腫の上皮化を制御する分子機構に着目した。肉腫様部分と上皮化成分との細胞接着分子E-カドヘリン発現の比較検討を施行中である。本研究計画を遂行するために、組織標本の微小検体から効率良くDNA増幅やメチル化解析を施行する新規の方法論の検討を行なった。成果の一部は学会にて報告した。 中皮腫と共通して、2相性を示す腫瘍である滑膜肉腫培養細胞株を実験モデルとして、組織2相性を制御する因子の解析を目指した。今年度は、滑膜肉腫における肉腫成分と上皮様成分とを識別する分子の探索を行った。遺伝子発現の比較検討の結果、紡錘細胞型腫瘍では、cancer/ testis antigen (CTA)に属するいくつかの遺伝子の発現が有意に高いという所見が得られ、「CTAと上皮様成分の間葉化」という新たな着眼点を見い出した。 ウェスタンブロッティングによる抗体のスクリーニングを行い、肉腫様成分の培養細胞株SW982と上皮様成分の培養株HS-SY-IIとを識別可能なモノクローナル抗体について、2次元電気泳動ぼ条件設定を行い、抗原蛋白を切り出し精製に着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞接着分子の発現制御について、組織標本を対象として DNAメチル化解析の研究手法が必要である。アガロースビーズを用いて、病理組織標本内の少数の細胞集団を解析する手法による解析に加えて、遺伝子プロモータの特定部位のCGを対象に、組織標本上で メチル化、非メチル化のシグナルを検出する実験方法の基礎検討を行っている。 2相性という腫瘍の組織形態学像の共通性から、滑膜肉腫培養株をモデルとして、上皮様成分と肉腫様成分の遺伝子発現の差違に関連する候補分子として、cancer/ testis antigen (CTA)に該当する複数の分子を見い出した。
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今後の研究の推進方策 |
細胞接着分子のDNAメチル化による発現制御について、遺伝子プロモータの特定部位のCGを対象に、組織標本上で メチル化/非メチル化に相当するシグナルを検出する研究手法について、効率的なプローブや反応温度などの詳細を検討する。 中皮腫の肉腫様成分と上皮様成分を規定する分子機構を解明する目的で、滑膜肉腫の実験モデルから得られた知見を、悪性中皮腫の病理組織に展開する。滑膜肉腫の上皮様成分と肉腫様成分を識別する抗体が認識する抗原蛋白質に対する2次元電気泳動、蛋白の精製と解析を進め、中皮腫病理組織の評価を行い、細胞接着分子の発現との関係を検討する。一方で滑膜肉腫の上皮様成分と肉腫様成分とのmRNA発現プロファイルの比較検討から得られた分子に関して、中皮腫病理組織における発現局在を検討し、細胞接着分子の発現やDNAメチル化、酸化的ストレスの分布との関連について検討する。 成果をとりまとめ、学会や論文発表を行う
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