本年度は18種類のがん由来の培養細胞を培養し、セルアレイを作成し、10種類の腫瘍マーカーやがん関連遺伝子産物の発現量をレーザースキャニングサイトメーター(LSC)で測定した。 セルアレイの作成プロトコールは昨年度の検討でおおむね確立していたが、培養細胞の種類によってはスポッターにセッティングする際の細胞濃度を調整した。1枚のセルアレイには正常細胞(ヒト胎児線維芽細胞由来の培養細胞)を1種類、がん由来培養細胞を9種類、合計10種類の培養細胞をそれぞれ5スポットずつスポットするようにデザインした。自動スポッターを使用し、40枚のセルアレイを作成した(Aセット)。同様の作業を別の9種類のがん由来培養細胞で行い、こちらも40枚のセルアレイを作成した(Bセット)。 免疫染色に使用した一次抗体は腫瘍マーカーやがん関連遺伝子産物に対するものを使用した。それぞれの抗体についてAセット、Bセットともに少なくとも2枚のセルアレイスライドグラスに対して蛍光免疫染色を行い、RNase処理後、PI (propidium iodide)で核染色した。染色後のサンプルはLSCで各細胞における免疫染色の強度と核染色強度(核DNA量)を測定した。LSCでは細胞のスライド上の位置情報も同時に取得できるため、セルアレイの全範囲を一度に測定したのちに、各細胞がスポットされている5スポットだけを取り出して解析することが可能であり、それぞれの抗体について、細胞種類ごとにデータを抽出した。 このようにして得られたデータについては、現在解析中であるが、まだ測定した細胞の種類や抗体の種類が少ないこともあり、今年度は結論がでていない。
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