研究課題
タイト結合膜蛋白(Occludin、claudin、Tricellulin、JAM)発現後の蛋白折り畳み、修飾、細胞膜への移動、タイト結合の形成のメカニズムは解明されていない。本研究ではメカニズム解明の第一歩としてジスルフィド結合に着目し、正常状態や病的状態でのタイト結合膜蛋白のジスルフィド結合の有無、蛋白内の位置決定、存在意義を検討している。平成23年度は以下の実験を行い、結果を得た。1.タイト結合膜蛋白のジスルフィド結合の検討:融合蛋白を還元条件、非還元条件でウエスタン解析した。その結果Ooccludinは蛋白内にジスルフィド結合を形成することが確認された。またジスルフィド結合の有無や存在部位は細胞種により差が見られた。細胞膜上ではOccludinの酸化型(S-S結合あり)が細胞質内より多い傾向を見出した。claudin-4、Tricellulinに関しては、ジスルフィド結合は確認できなかった。2.システイン-アラニン変異蛋白の発現、検討:GFP-OccludinもしくはOccludin-FLAG融合蛋白のシステイン部位を各々アラニンに変換した変異蛋白を発現する変異ベクターを作成した。Occludin-FLAG融合変異蛋白については、ヒト卵巣癌細胞株AMOC2にベクターを導入し、変異蛋白を安定発現する細胞株を樹立した。3.変異蛋白の発現量の測定:Occludinのシステイン-アラニン変異導入部位によって、一過性発現系での蛋白発現量が異なることを見出した。これは、変異導入により安定性が変化したと推測した。4.システイン-アラニン変異蛋白の安定性の測定:Occludin-FLAG安定発現株(野生型および変異型)の細胞表面での安定性を測定した。野生型と変異型ではっきりとした差は見られなかった。5.Occludinと結合する蛋白の検討:共免疫沈降で、TricellulinとOccludinが結合することが確認された。
2: おおむね順調に進展している
Occludin-FLAGやGFP-Occludin、発現遺伝子、およびそれぞれの変異遺伝子の作成など、成果を得やすい研究段階は予想通りの達成度である。ジスルフィド結合の存在意義の検索中であるが、不確定要素が大きく、予想は困難である。総合するとおおむね順調と判断する。
1.Occludinの安定性について、酸化ストレスなどの条件を加えて、さらに検討する。2.OccludinとTricellulinの相互作用とジスルフィド結合の関連を検討する。3.Occludinのジスルフィド結合を調節するシャペロン蛋白を探る。4.Occludinのジスルフィド結合と、細胞内分布の関連を検討する。以上の研究を総合して、Occludinのジスルフィド結合の存在意義を追究する。
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