研究課題/領域番号 |
22590337
|
研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
及川 浩樹 岩手医科大学, 医学部, 講師 (50285582)
|
研究分担者 |
前沢 千早 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10326647)
小谷 康慈 岩手医科大学, 医学部, 助教 (50433488)
稲葉 亨 岩手医科大学, 医学部, 助教 (60405800)
増田 友之 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10199698)
|
キーワード | アセチル化 / HSP27 / β-catenin / 乳癌 |
研究概要 |
本研究では、乳癌で発現が亢進しているHeat shock protein 27(HSP27)について、そのアセチル化修飾が化学療法への耐性および腫瘍形成能にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的としていたが、HSP27のアセチル化修飾を証明することができなかった。そこで、さまざまな悪性腫瘍で腫瘍形成に関与しているβ-cateninがHSP27と結合する事が示唆されていることから、結合が実際生じているかを明らかにすると共に、その結合がβ-cateninの細胞内動態に影響を与え、腫瘍細胞の増殖能に変化を与えるかを検討することとした。今年度はMB231、SKBr3、MB453、MCF7、CRL1500、HMC1-8を対象とし、以下の結果を得た。1.β-cateninとHsp27の発現状態に関連があるかをimmunoblotで検討すると、SKBr3を除くすべての細胞株でHsp27とβ-cateninの発現は相関していた。2.蛍光免疫染色、confocal laser scanning microscopyによりβ-cateninとHsp27の細胞内局在を検討すると、いずれも細胞質に分布しており、共局在を示していた。3.免疫沈降によりβ-cateninとHsp27の結合を検討すると、β-cateninとHsp27が細胞内で結合している事が確認された。また、小麦発現系でHsp27とβ-cateninをそれぞれ発現させpull down assayを行った実験でも両者の結合がみられ、それが直接結合である事が確認された。4.HSP27の発現状態がβ-cateninの細胞内含有量に影響を与えるか検討するため、siRNAでHSP27の発現を抑制すると、β-cateninは減少した。また、HSP27の発現抑制を行った状態で、MG132を反応させると、β-cateninのリン酸化とユビ化は亢進した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初はRSP27のアセチル化修飾が乳癌の腫瘍形成および化学療法への耐性に与える影響について検討する予定であったが、アセチル化修飾を明らかにできなかったため、現在HSP27とβ-cateninの結合が腫瘍形成に与える影響を検討しているため。
|
今後の研究の推進方策 |
上記に示したように、当初はHSP27のアセチル化修飾が乳癌の腫瘍形成および化学療法への耐性に与える影響について検討する予定であったが、アセチル化修飾を明らかにできなかったため、腫瘍形成に大きく関わっているβ-cateninとHSP27の結合が腫瘍形成に与える影響を検討している。
|