研究課題/領域番号 |
22590340
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
森谷 卓也 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00230160)
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研究分担者 |
紅林 淳一 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (10248255)
鈴木 貴 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10261629)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 乳癌 / 病理 / 免疫組織科学 / 上皮内癌 / 非浸潤性乳管癌 / トリプルネガチブ乳癌 / 前癌病変 |
研究概要 |
浸潤性乳癌における遺伝子発現プロファイルの研究から乳癌は4つの亜型に分類され、予後を含む生物学的態度や薬物治療の選択が異なることが知られている。それぞれ異なる発癌過程を経ている可能性を想定し、浸潤癌の前駆病変とも目される上皮内癌(非浸潤性乳管癌;以下DCIS)の亜分類を行い、免疫組織学的に検討した。59例のDCISについて、浸潤癌に準じて亜分分類を行うと、ホルモン受容体陽性・HER2陰性のLuminal A型が51例(89.6%)と圧倒的に多く認められた。ホルモン受容体陰性・HER2陰性のトリプルネガティブ(以下TN)型は3例(5.1%)のみで、同時期の浸潤癌における同亜型の約半分の頻度であった。このことは、予後不良であるTN乳癌では、上皮内癌の時期が短く、早期に浸潤癌に移行することを示すと推測された。次に、TN型のDCIS29例を抽出し検索したところ、浸潤癌における基底細胞型と目されるサイトケラチンCK5/6またはEGFR陽性の症例は3例のみであり、それらが80%を占めるTN浸潤癌とは様相が異なっていた。TN-DCISの少なくとも20例(69.0%)は細胞質が好酸性を呈し、アポクリン分化と目され、早期に進行するTN浸潤癌とは異なる発生過程を有している可能性が示唆された。なお、基底細胞型DCISは、間質にリンパ球浸潤を伴い、核異型高度、明瞭な核小体を有志、細胞質は扁平上皮様の所見を呈した。TN-DCISを非TN-DCISの207例と比較したところ、年齢は同等、核異型とグレード、p53の発現率はTNが有意に高かったが,Ki-67を用いた増殖能には差がなかった。また非TN-DCISにおけるアポクリン分化傾向は20.8%のみで有意に低頻度であった。以上のように前癌の最終段階である非浸潤癌の病理形態は多彩であり、早期発見時の適切な亜分類と個別化治療の計画が望ましいと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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