LPS刺激に伴うTxnip発現抑制制御の生理学的な意義を明らかにするために、Txnip遺伝子強制発現細胞株を作成し、LPS刺激後の主なサイトカイン、ケモカイン遺伝子の発現への影響を確認した。しかし、これらの遺伝子の発現に大きな変化は見られなかった。また、Conditional Txnip Transgenic mouseを作成し、現在実験に向けて交配中であり、今後は、Transgenic mouseより調整した骨髄由来マクロファージを用い、影響を受ける遺伝子発現を網羅的に解析する。Txnip遺伝子の発現制御を明らかにするために、レポーター解析を行ったが、Txnip遺伝子プロモーター領域を導入したレポーター遺伝子では、発現の抑制を検出できなかった。これは、Txnip遺伝子の発現がLPS刺激後の急激な抑制のあと、短時間で回復するので、Luc遺伝子産物の分解がTxnip遺伝子の発現制御に追随できないことが原因と考えられる。今後は、mini geneを用いて導入したTxnip mRNAを直接検出する実験系を構築するとともに、Nuclear Run On AssayでTxnip遺伝子の転写を直接的に解析する。同時にTxnip遺伝子の機能を明らかにするために、Yeast two hybrid法によりTxnip遺伝子産物に結合するタンパク質の同定を試みた。その結果、6つの候補遺伝子を同定し、HEK293細胞内での結合を確認した。今後は、遺伝子ノックダウンの系を用いて、その結合の意義を明らかにする。
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