研究課題
1肝臓組織病理標本の選別手術切除組織の新鮮凍結組織からRNAを抽出し、HCV RNAについてリアルタイムPCRにより定量した。肝硬変の有無により症例を分け、さらにそれぞれについて、ウイルス量が100倍以上異なる高ウイルス群と低ウイルス群に分類した。各群5症例計20症例について、HE染色像より実質および間質をみきわめ、マイクロダイセクション領域を検討した。2レーザーマイクロダイセクション・LC-MS/MSの検討既に先行していた肝細胞癌再発に関する実質および非実質のマイクロダイセクション・LC-MS/MS解析を、参考として検討してみた。実質と非実質との間で発現の異なるタンパク質が同定でき、さらにそれぞれ特徴的なタンパク質は、再発難易によって異なることがわかった。同様の解析をウイルス複製の難易で検討できる可能性が示された。3ウイルス量の違いに関連する分子の機能解析高ウイルス群で有意に発現亢進する遺伝子の中に細胞膜セリンプロテアーゼTMPRSS2を見いだしていた。一方Huh7/JFH1 HCVの培養細胞感染系で、血清が感染を抑制することを見いだした。血清成分中、α1アンチトリプシンが顕著に感染を阻害すること、ダイズ由来のトリプシンインヒビターも同様に感染を阻害することを見いだした。細胞膜トリプシン様プロテアーゼTMPRSS2がインフルエンザやSARSウイルスの感染性に大きく関与することが最近明らかにされており、C型肝炎ウイルスの感染性増強にも細胞膜プロテアーゼの関与が示唆された。
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Experimental and Therapeutic Medicine
巻: 2 ページ: 425-431
脊椎脊髄ジャーナル
巻: 23 ページ: 553-555