研究課題
多発性嚢胞腎症(PKD)は、1000人にひとりと高率に発症する遺伝性疾患である。腎臓や肝臓における嚢胞形成には上皮細胞の増殖および線維化の亢進が認められ、関与する細胞内情報伝達経路が明らかにされつつあるが、病態の進行を抑制する治療法は確立されていない。核内受容体PPARγのアゴニストであるピオグリタゾン(PIO)は、2つの細胞内情報伝達経路、cAMP/PKA/B-Raf/MEK/ERK(以下、ERK)とCa2+/PI3K/AKT/mTOR/S6K/S6(以下、mTOR)および線維化を抑制することが期待できる。そこで代表的なPKDモデル動物であるPCKラットにPIOを投与したところ、1)腎臓ではERKおよびmTOR細胞内情報伝達経路の活性抑制により、細胞増殖の進行が抑えられ、腎臓の病態進行が抑制されること、2)肝臓ではERKおよびTGFβ細胞内情報伝達経路の活性抑制により、細胞増殖と線維化の進行が抑えられ、病態進行が抑制されること、を明らかにした。また、3)網羅的解析によって、腎臓においてPIOがEGF、PDGFおよびJUK細胞情報伝達経路を経る細胞増殖を抑制すること、4)脂肪酸代謝の鍵酵素であるSCD1の発現と分布が減少することを確認した。これらのことから、核内受容体であるPPARγのアゴニストはPKDの病態進行を抑制することが示唆されるため、核内受容体が関与する細胞情報伝達経路の抑制がPKD患者の治療に繋がるものと考えられ、今後臨床治験に発展することが期待される。また、本研究結果をもとにPPAR、PKDモデル動物およびPKDに関する総説をそれぞれ作成し、総括を行っている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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