研究課題/領域番号 |
22590352
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
河原 佐智代 近畿大学, 医学部, 講師 (60297629)
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研究分担者 |
博多 義之 近畿大学, 医学部, 助教 (30344500)
宮澤 正顕 近畿大学, 医学部, 教授 (60167757)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 発がん制御 / 内在性レトロウイルス / APOBEC3 / 乳癌 |
研究概要 |
APOBEC3はレトロウイルスの逆転写産物を標的にしてその複製を制御する核酸変異挿入因子である。我々はこれまでにフレンド白血病ウイルスに感染抵抗性のC57BL/6 (B6)マウスに発現するAPOBEC3が外来性レトロウイルス複製を生理的に制御していることを明らかにしてきたが、内在性レトロウイルスに対するその働きは不明であった。 本研究では、APOBEC3を欠損したB6マウスが野生型に較べて高い乳癌の発症率を示し、それは生後7カ月以降の経産雌にのみ認められること、また一部のAPOBEC3欠損個体では胸腺やリンパ節が腫大し、リンパ性白血病を発症することを見出した。APOBEC3蛋白はリンパ組織や乳腺上皮細胞に多く発現していることから、APOBEC3は内在性レトロウイルスであるmurine mammary tumor virus (MMTV)やmurine leukemia virus (MLV)の発現抑制に働くことで内在性レトロウイルスによる腫瘍誘発を制御していると推測された。 そこで、発症個体から腫瘍部位と胸腺やリンパ節などのリンパ組織を採取し、それらの組織における内在性MMTVの発現をRT-PCR法により解析した。その結果、乳癌部位ではMMTVの転写が強く亢進しており、また同一個体のリンパ器官には欠損変異型MMTVの発現を認めた。APOBEC3欠損の未経産雌でも、生後半年を過ぎた個体の中にはリンパ組織に欠損変異型のMMTVを強く発現するものがあり、APOBEC3を欠いた個体ではMMTVの反復感染が生じている可能性が考えられた。一方、内在性MLVの発現は抗体パネルを用いた免疫染色法により検討したが、APOBEC3欠損によるMLVの発現誘導は認められなかった。 以上、本研究によりAPOBEC3が内在性MMTVの発現を抑制することで発がんを制御している可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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