研究課題
プロテアソームはユビキチンシステムと連動してユビキチン化タンパク質の分解を制御・実行する複合体であり、細胞周期、DNA修復、シグナル伝達、タンパク質の品質管理、ストレス応答、免疫応答などの多様な生命現象に関与している。本研究ではプロテアソームの機能異常と病態形成のメカニズムを解明するために、酵素活性の弱いサブユニットであるβ5tを全身発現させた遺伝子導入マウス(β5t-Tg)を用いた研究を進めている。期間中に(A)プロテアソーム機能の低下と老化・老齢病態、および、(B)β5tの異常発現と免疫疾患、の2つの病態メカニズムを明らかにする研究を展開しているが、平成23年度は(A)プロテアソーム機能の低下と老化・老齢病態に関する研究において、老化関連呼吸器疾患とプロテアソーム機能異常に関する研究を進展させた。β5t-Tgに喫煙負荷を加えることで、野生型に比して肺胞破壊や炎症細胞浸潤が誘導されることが明らかとなり、老年期に発症するCOPDにプロテアソーム機能が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。肺胞破壊が亢進する原因としては、β5t-Tgでは肺胞構築の維持に重要な役割を果たしている細胞骨格タンパク質の発現が減弱していることが原因の1つとして考えられた。平成24年度は肺胞破壊の亢進の分子メカニズムについて、より詳細に検討を進める計画である。また、(B)β5tの異常発現と免疫疾患に関する検討では、胸腺内抗原提示細胞におけるβ5tやβ5iの発現分布が胸腺細胞の分化やレパートリー形成に重要であることが明らかとなった。平成24年度は脾細胞移入等の実験を行うことで、免疫疾患のモデル構築を試みる予定である。
2: おおむね順調に進展している
研究計画通りに研究が進行している。
おおむね研究計画通りに研究が遂行され、成果が出ている。今後も研究チームでより効率の良い実験を遂行することで、成果を挙げたいと考えている。
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