研究課題
プロテアソームはユビキチン化されたタンパク質を分解するための巨大なプロテアーゼ複合体であり、細胞周期や転写制御、シグナル伝達、ストレス応答、異常タンパク質の分解、免疫応答等、生物の恒常性維持に重要な役割を果たしている。そのため、プロテアソームの機能異常は様々な病態に関連していることが推定されてきたが、遺伝子ノックアウトにより致死となることから生理機能や病態関連性について個体レベルでの詳細な解析がこれまでは困難であった。申請者は酵素活性の低いプロテアソームサブユニットを強制発現させることで、プロテアソームの機能低下を示すモデルマウスを新規に作製し、プロテアソームの機能異常と病理作用に関する検討を行った。本マウスは体重減少や短寿命、背骨の彎曲等の老化の表現型を示し、組織内にはポリユビキチン化タンパク質や酸化タンパク質の蓄積、多種類の細胞内タンパク質の発現異常が認められた。加齢によりプロテアソーム活性が低下することが明らかになっているが、本モデルを用いた研究により、プロテアソームの機能低下は個体老化の重要な要因の1つになっていることがマウスモデルで初めて明らかになった。加えて、同マウスに高脂肪食負荷や喫煙などの環境要因ストレスを負荷することで脂肪代謝の異常や肺気腫の増悪など、老化に関連した病態が誘導されることを明らかにした。また、プロテアソームは免疫応答においても重要な役割を果たしているが、本マウスではT細胞の成熟分化の異常やサイトカイン産生の異常等、T細胞機能に異常を認め、プロテアソームの機能異常が免疫系の疾患病態にも関わっている可能性が示唆された。さらに、プロテアソームの病理診断学的応用として、胸腺皮質上皮細胞に特異的な発現を示す胸腺型サブユニット(β5t)の発現検討を行った結果、β5tは胸腺腫、特にtype B胸腺腫の診断マーカーとして有用であることを明らかにした。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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