研究概要 |
Adherent cultureしたSBA陰性細胞の培養液中にcAMPを加えるとGFAP陽性のアストログリア細胞またはCNPase陽性のオリゴデンドログリア細胞の2種類の細胞に分化する。一方、adherent cultureしたSBA陽性細胞にcAMPを加えても、GFAP陽性またはCNPase陽性細胞は見られなかった。しかし、SBA陽性細胞およびSBA陰性細胞にはTuj-1またはMAP-2陽性の神経細胞は全く見られなかった。SBA陽性細胞およびSBA陰性細胞の性格を把握するために、約27,000 probe setsが載っているFilgen社製のマイクロアレイにて、SBA陽性細胞及びSBA陰性細胞の網羅的遺伝子プロファイルを行うと、SBA陽性細胞にはAPEG-1 (AORTIC PREFERENTIALLY EXPRESSED PROTEIN 1),I型collagen, III型collagen, fibrillin-1等の間葉系細胞に発現する遺伝子がup-regulationされていた。一方、SBA陰性細胞ではCNPase, SOX10, proteolipid protein等のオリゴデンドログリアに発現する遺伝子がup-regulationされていた。実際、TGF beta 3でSBA陽性細胞と陰性細胞を刺激すると、Alpha Smooth muscle actin陽性のmyofibroblastに分化した細胞が見られた。また、骨芽細胞へ分化を誘導する培養条件でSBA陽性細胞と陰性細胞を培養すると、SBA陽性細胞のみにalkaline phosphatase陽性の骨芽細胞様細胞が出現した。以上の結果から、SBA陽性細胞は間葉系細胞に分化する能力があり、SBA陰性細胞にはグリア細胞に分化する能力があるものと考えられた。
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