研究課題
感染症モデルとして現在治療法が確立されていないLPS誘導急性呼吸促拍症候群を作製し、ガレクチン9(Gal-9)を皮下投与すると症状の著しい改善が見られ、肺病変局所ではCD11bLy-6c細胞数がGal-9投与群で著明に増加していた。それらの細胞はF4/80陽性かつCD11cやMHC class II発現とともにPDCA-1やB220も発現していたことからpDC-likeマクロファージと考えられた。非投与群でも同様の細胞が認められたが、投与群からの細胞はTLR2,TLR4やCD14の発現低下が見られた。実際、投与群、非投与群からのpDC-likeマクロファージを移入すると投与群ではARDS発症が抑制された。Gal-9やGal-9投与で得られるpDC-likeマクロファージが当該疾患治療への応用できる可能性が示唆される(AJRCCMに投稿中)。現在、坦癌動物(肺がん)においてGal-9投与が著明な生存延長を誘導し、1/4のマウスでは投与中止後も長く生存した。腹腔浸潤細胞を検討するとNK細胞、NKT細胞やCD8細胞(CTL)の増加とともにpDC-likeマクロファージ数の著しい増加を認めた。現在、坦癌マウスでGal-9投与により増加したpDC-likeマクロファージの機能の解析とともに当該細胞がどのようなメカニズムで形成されるかについてM-CSFやGM-CSFによるマクロファージ誘導に対するGal-9の効果の検討によりM1マクロファージやM2マクロファージとpDC-likeマクロファージとの関係をin vitroやin vivo実験をとおして解明している。また、Gal-9の種々疾患における作用メカニズムについては業績目録の中で報告しているように国内国外の研究者との共同研究によってその重要性が飛躍的に明らかにされつつある。
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