研究課題
これまでGal-9が自己免疫モデル動物でIFN産生Th1細胞のアポトーシスをGal-9/Tim-3 Pathwayで誘導することを明らかにしたが、Th1細胞と同様にIL-17を産生するTh17細胞のアポトーシスを同様の機序で誘導することを世界で初めて明らかにした。本プロジェクトで肺がんモデルでは形質細胞様マクロファージを増加させることや抗腫瘍効果を発揮することを明らかにし、当該細胞分化がGal-9によるM-CSFマクロファージ分化修飾の結果であることを示した。興味あることにこのマクロファージと同様の細胞がGal-9による急性呼吸促拍症候群モデルの治療効果についても重要な作用を示すことが明らかにされ、現在、これらの細胞の各種疾患における作用について検討を始めている。また、共同研究により骨髄移植で臨床的に問題となっているGVH反応がGal-9によるT細胞のアポトーシスを誘導することで抑制されることも明らかにした。本年度の特記すべき共同研究としては各種のウイルス感染におけるGal-9の作用についてであり、Gal-9によるHIV感染予防効果をはじめとして多くのウィルス関連の論文を出版した。2011年の論文数は9編、IFは53.278、平均では5.919であった。また2012年で印刷済みまたは印刷中の論文がすでに9報でimpact factorはすでに60に達している。本学における研究の進展とともに世界の研究者との共同研究の進展に本プロジェクトが一部ではあっても貢献したことは異論がないと思われる。また、本プロジェクト遂行中にこれまではGal-9をin vitroで投与するか、モデル動物に外からの投与による研究であったが、生体内でのGal-9産生細胞が全く不明であったが、表面Gal-9発現T細胞やマクロファージが存在することを明らかにし、現在さらなる研究を展開している。
1: 当初の計画以上に進展している
免疫制御性のマクロファージのみならず、ガレクチン9により免疫増強性マクロフナージが免疫低下状態である担癌動物において見られることを明らかにするとともに、当該細胞の分化誘導機構を明らかに出来た。また、本プロジェクト以外でも上述のように共同実験にてGalectin-9による抗ウィルス作用や移植時におけるGalectin-9の作用について多くの研究発表を行った。
なぜ同一の因子が異なる免疫状態でフェノタイプは同じだが異なる活性を示すマクロファージを誘導できるのかについての実験を行うことが重要となる。すなわち、Galectin-9が過剰免疫状態では免疫抑制を誘導するマクロファージと免疫低下状態では免疫増強を起こすマクロファージを誘導するということは明らかであるが、その機序を明らかにすることでGalectin-9による治療効果発現機構の解明にとどまらず、免疫学的治療を行うために重要な知見を与えると思われる。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (16件) (うち査読あり 15件) 学会発表 (5件)
Int Arch Allergy Immunol
巻: 158 Suppl 1 ページ: 58-65
Clin Immunol
巻: 143(1) ページ: 51-8
10.1016/j.clim.2012.01.004
Immunobiology
巻: 217(6) ページ: 657-66
10.1016/j.imbio.2011.11.002
巻: 142(3) ページ: 296-307
10.1016/j.clim.2011.11.006
Blood
巻: (印刷中)
10.1182/blood-2011-06-360321
Eur J Immunol
巻: 41 ページ: 67-75
J.Immunol.
巻: 186 ページ: 2897-2909
10.4049/jimmunol.1003187
Am.J.Pathol.
巻: 178 ページ: 1201-1209
10.1016/j.ajpath.2010.11.073
J Immunol
巻: 186 ページ: 19-23
10.4049/jimmunol.1002735
巻: 140 ページ: 92-101
10.1016/j.clim.2011.03.017
巻: 117 ページ: 4501-4510
10.1182/blood-2010-10-310425
Am J Respir Crit Care Med
巻: 184 ページ: 328-339
10.1164/rccm.201010-15660C
Anticancer Res
巻: 31 ページ: 2467-2476
巻: 187 ページ: 5745-5755
10.4049/jimmunol.1102105
J Clin Invest