研究課題
研究成果に関しては発表論文の項で示されているように我々が見出したGalectin-9関連論文としては、本課題以外でも共同研究グループから多くのインパクトの高い論文が発表された。すなわち、2010年では論文数13(IF=64)、以下2011年、論文数9(IF=54)、2012年、論文数15(IF=110)、2013年3月まで論文数5(IF=23)とまずまずの成果が得られたものと考える。これまでGalectin-9による免疫反応の制御機構としてはT細胞、その中でもTim-3を介したヘルパーT細胞の制御についての発表が主体をなしていた。しかしながら、我々を中心とした最近の研究によってGalectin-9は免疫低下状態を示す担癌マウスではマクロファージや樹状細胞を活性化し、それら活性化された細胞によって前者ではNK細胞の活性化、後者ではCD8+細胞障害性T細胞の活性化がそれぞれ誘導されることが示された。最近の研究で上記の細胞群のみならず抗体産生を行うB細胞に対しても調節効果を示すことが明らかにされている。逆に過剰免疫ではマクロファージや樹状細胞の活性化によって免疫反応が抑制されることも示された。このような生体側の免疫状態の違いによりGalectin-9が相反する作用を示すが、その理由の解明によってGalectin-9が免疫低下や過剰免疫で免疫反応を正常状態に維持するというホメオスターシスに重要な物質として、既存の治療とは異なる副作用の少ない治療法の開発が可能になると思われる。また、これまでの研究でGalectin-9が免疫系の細胞以外の細胞機能の制御に重要な作用を示すことを明らかにしてきた。Galectinがカビやカイメン等から保存されていることを考えるとGalectinは古くからストレスに対する防御因子として存在してきた可能性が示唆される。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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