• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2010 年度 実績報告書

癌プロテアーゼのアナフィラトキシンC5a産生による癌自己活性化経路解析と治療応用

研究課題

研究課題/領域番号 22590363
研究機関熊本大学

研究代表者

今村 隆寿  熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (20176499)

キーワードC5a / 癌 / 浸潤 / MMP / 血栓症 / プロテアーゼ
研究概要

補体5因子aフラグメント(C5a)の癌細胞への作用の可能性を探索するために、手術摘出ヒト癌組織のC5aリセプター(C5aR)免疫染色を行った。扁平上皮癌(食道癌)、移行上皮癌(膀胱癌)、腺癌(胃、膵、胆管、肝、大腸、肺癌、腎臓、前立腺、乳癌)において、種々の陽性率でC5aR発現が認められた。なかでも、大腸、胆管、前立腺、腎臓癌では50%以上の症例が陽性であった。次に癌細胞株でのC5aR発現をPCRによるmRNAとウェスタンブロッティングによるタンパク質発現で調べると、腸癌細胞5種類のうち3種、胆管癌細胞では6種類のうちMECのみが両方の発現がみられ、flow cytometryにより細胞膜に存在することが確認された。そこで、胆管癌細胞株MECとC5aR陰性のHuCCT1、これにC5aRを発現させたHuCCT1-C5aR(+)を使って、C5a刺激による細胞形態の変化をF-アクチンの蛍光ラベルによって観察した。MECとHuCCT1-C5aR(+)細胞では100nMのC5a添加によって、ストレスファイバーの出現やフィロポディアやラメリポディアがみられたが、HuCCT1-mockでは変化を認めなかった。また、C5aによる細胞運動の活性化をMatrigel invasion assayで測定すると、C5a濃度に相関してC5aR陽性細胞のみ運動性の亢進がみとめられ、このC5a作用はC5aR抗体やmatrix metalloprotease (MMP)インヒビターで抑制された。C5aは癌細胞からのMMP放出を増加させた。以上の結果から、C5aはC5aR陽性癌細胞の運動性をたかめ、さらにMMP放出を増加させて癌細胞の間質への浸潤を亢進することが明らかになった。さらに、ヒトのC5aR陽性癌細胞でもC5aによって癌細胞の運動性と浸潤性を促進していることが示唆された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Degadation of fibrinogen and collagen by staphopains, cysteine protease from Staphylococcus aureus.2011

    • 著者名/発表者名
      Ohbayashi, T., Imamura, T.
    • 雑誌名

      Microbiology

      巻: 157 ページ: 786-792

    • 査読あり
  • [雑誌論文] AL-アミロイドーシスと線溶異常2010

    • 著者名/発表者名
      内場光浩, 今村隆寿
    • 雑誌名

      日本血栓止血学会誌

      巻: 21 ページ: 9-15

  • [学会発表] Aeromonas sobriaセリンプロテアーゼ(ASP)のフィブリノゲン分解による血漿凝固能低下誘導2010

    • 著者名/発表者名
      今村隆寿, 新田英利
    • 学会等名
      第15回日本病態プロテアーゼ学会
    • 発表場所
      千里ライフサイエンスセンター(大阪市)
    • 年月日
      20100820-20100821
  • [学会発表] 尿トロンビン-急速進行性糸球体腎炎(RPGN)活動性め新規分子マーカー-2010

    • 著者名/発表者名
      北本康則, 今村隆寿
    • 学会等名
      第53回日本腎臓学会学術総会
    • 発表場所
      神戸国際会議場(神戸市)
    • 年月日
      20100616-20100618
  • [学会発表] 癌細胞プロテアーゼのアナフィラトキシンC5a産生を介した癌自己活性化機構の解析2010

    • 著者名/発表者名
      今村隆寿, 新田英利
    • 学会等名
      第99回日本病理学会総会
    • 発表場所
      京王プラザホテル(東京都)
    • 年月日
      20100427-20100429
  • [図書] Proteases and their receptors in inflammation2011

    • 著者名/発表者名
      Imamura, T., Potempa, J.
    • 出版者
      Springer, Basel, Switzerland(in press)
  • [図書] 救急・集中治療2010

    • 著者名/発表者名
      今村隆寿
    • 総ページ数
      1140-1144
    • 出版者
      総合医学社,東京

URL: 

公開日: 2012-07-19  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi