研究課題
補体5因子aフラグメント(C5a)の癌細胞運動性亢進作用以外の作用を明らかにするために、細胞増殖促進作用を調べた。C5a受容体(C5aR)発現癌細胞(HuCCT1/C5aR)は、C5a存在下で培養すると24時間後にはC5a 10nMと100 nMで各々1.4と1.7倍に増殖した。この作用はC5aR非発現癌細胞(HuCCT1/mock)ではみられず、C5aRの拮抗剤10μMで完全に抑制された。さらに、癌細胞をpropidium iodideで蛍光核染色しフローサイトメトリーで細胞周期の変化を解析すると、C5a刺激によりG2/M期の細胞が増加しており且つアポトーシス細胞が減少していた。また、C5a刺激後癌細胞をヌードマウス尾静脈から注射し6週間後に肺への転移を調べると、C5a刺激したHuCCT1/C5aR 細胞はC5a刺激しなかった場合の3倍、C5a刺激したHuCCT1/mock細胞の5倍の転移巣を形成した。これらの結果から、C5aが癌細胞の増殖と転移を亢進することが明らかになった。癌細胞によるC5a産生を調べると、C5aR発現の有無にかかわらず解析した胆管癌、大腸癌株のすべてが精製C5と生理的にC5aが存在する血漿からC5aを産生した。C5添加した培養液で癌細胞を培養した上清はC5a抗体で抑制される癌浸潤促進作用があった。この産生作用は培養上清にはみられず、セリンプロテアーゼ阻害剤のみで抑制された。細胞膜プロテアーゼのフューリンはC5からC5aを産生し、癌細胞のC5a産生作用はフューリン阻害剤で抑制された。以上より、癌細胞膜上のフューリン様プロテアーゼによってC5aを産生して浸潤能などを亢進する癌自己活性化機構の存在が示唆された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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