研究課題/領域番号 |
22590366
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
下山田 博明 杏林大学, 医学部, 助教 (60381472)
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研究分担者 |
矢澤 卓也 杏林大学, 医学部, 准教授 (50251054)
奥寺 康司 横浜市立大学, 医学部, 助教 (10326027)
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キーワード | 血管内皮増殖因子 / 肺癌 / 悪件中皮腫 |
研究概要 |
本研究の目的は血管内皮増殖因子(VEG:F)の作用機序を応用した肺癌や悪性中皮腫の治療法の開発である。 本年度はC57/BL6マウスに由来する肺癌細胞(Lewis LC)に加えて同系マウスの肺腺癌細胞CMT6461を使用した「肺癌進展モデル」を作成した。CMT6461はLewisに比べて、遺伝子導入による各mVEGFsの発現効率が高く、形態的にも腺癌に近く、病理組織学的に評価しやすい。選択的にmVEGFsを高発現させた一定量のCMT6461をPBSで希釈した後、ヌードマウスの尾静脈に接種し、胸水貯留の有無、体重減少、呼吸困難等の症状に注意しながら一定期間飼育した後、安楽死させ解剖し、胸水の性状、肺内腫瘍や胸膜播種形成の病理組織像とVEGFs発現の関係等を検証した。VEGF-CやVEGF-Dを発現させた肺腫瘍では胸膜付近のリンパ管侵襲傾向が強く、腺管傾向に乏しい低分化型腺癌の成分の混在が多いことが明らかになりつつあり、これらのVEGFsは脈管侵襲や胸膜播種のみならず、肺癌の分化傾向に影響を及ぼす可能性が考えられる。現在、更なる病理組織学的解析を続けている。また、この実験モデルを用い、VEGF受容体の可溶性ドメインと昨年度から研究に加えたNAB2についても検証を進めている。VEGF受容体の可溶性ドメインやNAB2の肺癌での強制発現は、in vivoで抗VEGFs作用やVEGFsの発現抑制が期待され、腫瘍増殖抑制に繋がると考えられる。この研究を進めることにより新たな肺癌治療薬の開発に貢献できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していたLewis肺癌細胞へのVEGFsの遺伝子導入がうまくいかず、cell lineをCMT6461に変更したため。
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今後の研究の推進方策 |
VEGFsを高発現させた肺癌細胞のマウス尾静脈への接種による「肺癌進展モデル」についてはcell lineをCMT6461に変更し、当初はマウスをヌードマウスに限定し研究を進めていく。このことにより実験手技やマウス肺癌の病理組織学的解析がより容易になり、より質の高い研究推進に貢献できると考えられる。
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