• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

キメラがん蛋白TLSーCHOPの新規がん化機構の解明と臨床応用を目指した基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 22590367
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

及川 恒輔  和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70348803)

研究分担者 村垣 泰光  和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40190904)
キーワードキメラ遺伝子 / TLS-CHOP / 粘液型脂肪肉腫
研究概要

粘液型脂肪肉腫では、染色体転座に起因するTLS-CHOPキメラがん遺伝子産物が腫瘍発生において重要な役割を担っていると考えられている。しかし、その具体的なメカニズムはまだ不明である。本研究は、その腫瘍化機構においてTLS-CHOPとの関連が示唆される分子について検討を進め、TLS-CHOPの機能を明らかにするとともに、TLS-CHOP及び関連の分子を指標または標的とした新規の診断及び治療法の開発の可能性を探るものである。本研究は以下の2つの項目において研究を進めている。
1.TLS-CHOPによるがん抑制遺伝子MOA-7の発現抑制機構の解明。
既に申請者らの研究により、がん抑制遺伝子MDA-7の発現をTLS-CHOPが抑制する可能性が強く示唆されていたが、23年度の研究においてそれを確実に示すことが出来た(投稿中)。また、このMda-7発現抑制には、TLS-CHOPによる特異的microRNA群の発現誘導が介在することが示唆され、そこに関与するmicroRNAの候補も挙がってきている。しかし、まだ対応するmicroRNA群の完全同定には至っておらず、現在鋭意努力中である。一方、Mda-7の発現制御とは直接関係無いが、TLS-CHOPにより発現抑制されるmicroRNAの中で、粘液型脂肪肉腫細胞に導入すると細胞増殖を抑制するものを同定した(投稿準備中)。
2.PRG4の腫瘍化機構の解明。
PRG4は、TLS-CHOPに発現誘導され、トランスフォーム活性を持つ。ヒトPRG4には6種のvariantが存在するが、PRG4は正常細胞においても様々な機能を持つことが知られているため、個々のバリアントの機能的特異性を調べる必要から、全バリアントの発現ベクターの作成に着手している。しかし、PRG4の塩基配列の特異性のためか、未だに完成には至っておらず、さらなる技術的工夫が必要とされる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

PRG4の発現ベクターの作成などには若干の遅れが見られるが、その反面、新たにTLS-CHOPに発現制御される、粘液型脂肪肉腫細胞の増殖に関わるmicroRNAの同定などに成功していることから、本研究テーマの大目標であるTLS-CHOPの腫瘍化機構の解明という点では、全体として概ね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

Mda-7の発現を抑制するmicroRNAの同定とそのTLS-CHOPによる発現制御機構の検討などについては、程なく結果を出せると考えているので、今のペースで進めて問題ないと考える。一方、PRG4の発現ベクター作成の遅れについては、新しい方法や別の発現ベクター、様々なキット等の導入も検討して、色々工夫しながら進めていく必要がある。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件)

  • [雑誌論文] Fibulin-5 Protein is reduced in the lung of patients with spontaneous pneumothorax who are under 25 years old2012

    • 著者名/発表者名
      平井慶充
    • 雑誌名

      Annals of Thoracic and Cardiovascular Surgery

      巻: (Advance Publication)

    • DOI

      10.5761/atcs.cr.11.01758

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification of a novel role of Septin 10 in paclitaxel-resistance in cancers through a functional genomics screen2012

    • 著者名/発表者名
      徐明利
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: vol.103 ページ: 821-827

    • DOI

      10.1111/j.1349-7006.2012.02221.x

    • 査読あり
  • [学会発表] A novel oncogenic mechanism of the chimeric oncoprotein TLS-CHOP mediated by a tumor suppressor protein MDA-7/IL242011

    • 著者名/発表者名
      及川恒輔
    • 学会等名
      日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)
    • 年月日
      2011-12-14
  • [学会発表] Expression of PRG4 variant C specifically functions in tumor formation and development of myxoid liposarcoma2011

    • 著者名/発表者名
      孫 玉静
    • 学会等名
      日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)
    • 年月日
      2011-12-14
  • [学会発表] Gdf5/Trps1 signaling regulates Prg4 expression in the superficial cells of the articular cartilage2011

    • 著者名/発表者名
      伊藤俊治
    • 学会等名
      日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)
    • 年月日
      2011-12-13
  • [学会発表] 粘液型脂肪肉腫における分子治療の可能性を探る2011

    • 著者名/発表者名
      及川恒輔
    • 学会等名
      日本バイオセラピィ学会学術集会総会
    • 発表場所
      ダイワロイネットホテル和歌山(和歌山県)
    • 年月日
      2011-12-01
  • [学会発表] Analysis of the novel molecular function of the cohesin-associated protein Wap12011

    • 著者名/発表者名
      及川恒輔
    • 学会等名
      日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県)
    • 年月日
      2011-10-03
  • [学会発表] 粘液型脂肪肉腫におけるPRG4の機能の検討2011

    • 著者名/発表者名
      孫 玉静
    • 学会等名
      和歌山医学会総会
    • 発表場所
      和歌山県立医科大学(和歌山県)
    • 年月日
      2011-07-10
  • [学会発表] 指節間関節形成における軟骨原基表層細胞の役割2011

    • 著者名/発表者名
      伊藤俊治
    • 学会等名
      和歌山医学会総会
    • 発表場所
      和歌山県立医科大学(和歌山県)
    • 年月日
      2011-07-10
  • [学会発表] カルシウム輸送体をターゲットにするマイクロRNAはリンで誘導される2011

    • 著者名/発表者名
      桂二
    • 学会等名
      和歌山医学会総会
    • 発表場所
      和歌山県立医科大学(和歌山県)
    • 年月日
      2011-07-10
  • [学会発表] コヒーシン制御タンパクWap1の新しい機能の検討2011

    • 著者名/発表者名
      及川恒輔
    • 学会等名
      和歌山医学会総会
    • 発表場所
      和歌山県立医科大学(和歌山県)
    • 年月日
      2011-07-10

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi