同種造血幹細胞移植後には、移植片対宿主病(GVHD)、移植片対白血病(GVL)効果や造血・免疫系の再生など、複数種のドナー細胞のサブセット(T細胞サブセット、造血幹細胞など)と宿主の相互作用によって病態形成、抗腫瘍効果、免疫系の再構築が起こる。同種造血幹細胞移植後の生体内でのダイナミックな複数のドナー細胞の動きを観察するには生体蛍光イメージング法は有用な手法である。GVHDを制御する薬剤のスクリーニングおよび発症機序の解明を目指し、非侵襲的に解析できる生体蛍光イメージング法の開発を目標とする。また申請者らが作製したDsRed-TgマウスをおよびGFP-Tgマウスの2種類のドナー細胞を同時に観察するマルチカラー生体蛍光イメージングを行う。 GVHDの標的臓器の一つである皮膚、特に耳介に着目し、これまでドナー細胞の浸潤の様子を単一細胞レベル、リアルタイムに非侵襲的に観察することシステムおよびドナー細胞の浸潤を定量的に解析できるシステムを構築し、皮膚GVHDを制御する薬剤のスクリーニング法を確立した。さらに、免疫組織化学的な解析を組み合わせる事によって、単純刺激物質による皮膚GVHDを増悪の機序を明らかにした。 生体蛍光イメージングを用いて、骨髄非破壊性の同種造血幹細胞移植モデルマウスを用いて、NKT細胞リガンドの投与によってGVHDが抑制されることを明らかとした。その機序としてドナー細胞の2次リンパ組織でのドナーT細胞の増殖抑制によることを生体蛍光イメージングおよびKi-67の免疫染色によって、明らかとした。またGFPおよびDsRed-Tgマウスを用いて、脾臓および骨髄細胞をそれぞれ分離し、致死量の放射線照射したマウスに移植し、マルチカラーの生体蛍光イメージングにより2種類の細胞を同時に観察する事ができた。
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