研究概要 |
EBウイルス(EBV)がT/NK細胞に感染する疾患である慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)(CD4,CD8,γδ,NKの4タイプ)とEBV関連血球貪食性リンパ組織球症(EBV-HLH)の全てのタイプのモデルをNOGマウスを使用し作製した。これらのモデルマウスが患者病態を再現していることを検討するために実際の患者検体で異常産生が報告されているサイトカイン中IFN-γ,IL-8,RANTESをモデルマウス血漿を用いて測定した。その結果、患者と同レベルのサイトカイン産生異常を再現していた。また、末梢血EBVゲノム定量解析をした結果、患者と同レベルの高いウイルス量が検出された。サイトカイン、EBV量だけでなく組織解析により感染細胞が肝、腎,肺、脾、小腸、骨髄等あらゆる臓器に浸潤しCAEBVおおよびEBV-HLH患者の末期症例と同様の病態進行を示していた。CD4タイプの患者モデルはCD4にEBVが感染しており、他のタイプも患者と同様の細胞にEBVが感染していた。これらの結果から、これらのマウスは患者病態を再現していることが示され、これまでほとんど解明されていない病態発現解析に有用であること、新規薬剤の薬剤評価に有用であることが予想される。今後、これまで分かっていない病態発現解析を行ない、通常の標的ではないT/NK細胞への感染がどのようになされていくのかを解明する予定である。
|