研究概要 |
EBウイルス(EBV)がT/NK細胞に感染する疾患である慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)(CD4,CD8,γδ,NKの4タイプ)とEBV関連血球貧食性リンパ組織球症(EBV-HLH)の全てのタイプの疾患モデルの作成に成功した。疾患モデルマウスはNOGマウスを利用し作製した。このモデルは患者末梢血から分離したPBMCをNOGマウスに移植することで作成されるヒト化モデルである。これらのモデルマウスが患者病態を再現していることが昨年度の研究で示されたので、今年度はこれまで明らかになっていない患者体内での感染細胞の増殖・活性化のメカニズムの解明を試みた。研究の結果、4つ全てのタイプの感染細胞は同様に非感染CD4陽性T細胞の存在が増殖・生着には必須であり、非感染CD4陽性T細胞を除いた患者PBMC(w/o CD4)をいくら移植しても感染細胞の増殖・生着は得られないことが示された。EBV感染T/NK細胞は非感染CD4陽性T細胞のヘルプが無いとNOGマウス内では生着・増殖できないことから、感染細胞の生着・増殖には次の2つの可能性が考えられる。 (1)CD4が分泌するサイトカイン・ケモカインが関与している (2)CD4の細胞表面上の発現分子が関与している 今後、上記の可能性を検討し感染細胞制御にかかわる標的分子の同定を進めて行く予定である。
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