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2010 年度 実績報告書

悪性中皮腫におけるがん遺伝子YAPの腫瘍形成機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22590375
研究機関愛知県がんセンター(研究所)

研究代表者

村上 秀樹  愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学部, 主任研究員 (90303619)

キーワード悪性中皮腫 / 細胞内シグナル / 腫瘍抑制遺伝子
研究概要

悪性中皮腫においてがん遺伝子YAPは遺伝子増幅による過剰発現あるいは制御経路であるNF2→Hippo経路の破綻により活性化していると考えられる。本年度は中皮腫検体および細胞株におけるYAPおよびHippo経路に関与する分子の異常についてシークエンス、FISH法およびアレイCGH法を用いて詳細な解析を行った。中皮腫検体25例および20細胞株の解析でHippo経路の構成分子であるLATS2遺伝子のホモ欠失が中皮腫検体では2症例で、細胞株においては6細胞株で検出された。また遺伝子異常として中皮腫検体の1症例でスプライシングアクセプターサイトの変異が、1中皮腫細胞株でナンセンス変異が確認された。LATS2遺伝子の異常は全体では約22%の症例で検出された。他のHippo経路に関与する分子の異常としてSAV1のホモ欠失が1細胞株で見られた。細胞株においては20細胞株中NF2, LATS2およびSAV1のいずれかの異常が15細胞株(75%)で検出されることを明らかにした。YAPのリン酸化(不活性化)は細胞密度依存性に起こることが報告されており、NF2→Hippo経路に異常が見られない正常中皮細胞由来の細胞株MeT-5Aではコンフルエント(高密度)な状態においてYAPのリン酸化の上昇がみられYAPは主に細胞質に局在を示していた。一方、LATS2が不活化している細胞株においては細胞密度依存性のYAPのリン酸化は減弱しており高密度の状態においても主に核に局在を示しており、細胞密度依存性のYAPの活性化の制御が破綻していることが示された。LATS2遺伝子に異常を有する細胞株に野生型のLATS2遺伝子を導入することによりYAPのリン酸化がみられ、さらに増殖の抑制がみられた。以上よりLATS2は腫瘍抑制遺伝子として機能していることが示唆され、悪性中皮腫において高頻度なNF2→Hippo経路の破綻がYAPの恒常的な活性化を引き起こし腫瘍形成に重要な役割を果たしている可能性が考えられた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] LATS2 is a tumor suppressor gene of malignant mesothelioma2011

    • 著者名/発表者名
      Hideki Murakami
    • 雑誌名

      Cancer Research

      巻: 71 ページ: 873-883

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Induction of tubulin polymerization and apoptosis in malignant mesothelioma cells by new compound JBIR-232011

    • 著者名/発表者名
      Ji-Hwan Hwang
    • 雑誌名

      Cancer letters

      巻: 300 ページ: 189-196

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Characteristic methylation profile of CpG island metylater phenotype-negative distal colorectal cancers2010

    • 著者名/発表者名
      Byonggu An
    • 雑誌名

      International journal of cancer

      巻: 127 ページ: 2095-2105

    • 査読あり
  • [学会発表] Expression and functional analysis of Hairy Enhancer of Split 1 (HES1) in malignant mesothelioma cell lines2010

    • 著者名/発表者名
      村上秀樹
    • 学会等名
      The 10^<th> International Conference of the International Mesothelioma Interest Group
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都)
    • 年月日
      2010-09-02

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公開日: 2012-07-19  

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