研究概要 |
ダニや昆虫などの節足動物は,獲得免疫をもたず自然免疫のみで感染防御を行なっている。こうした節足動物は種の多様性に富み全動物種の8割以上を占めるまでに繁栄している。繁栄をもたらした要因にひとつに感染防御における自然免疫機構があげられる。この中でも抗菌ペプチドは主要な防御として機能していると考えられている。本研究ではでは、マダニ抗菌ペプチドの活性と意義およびその応用について共生微生物・病原体(ライム病ボレリア)の選択性に関与するマダニの抗菌ペプチド構造と機能を明らかにした。 抗菌活性を2つの方法で調べたところ、1時間以内の短時間殺菌効果および増殖阻害(MIC)についてライム病ボレリアや中腸から高率に分離できる細菌は抵抗性であった。一方、マダニから分離できないブドウ球菌は時間および濃度依存性に感受性であった。立体構造を構築したペプチドとリニア構造のペプチドの比較において、立体構造を構築したペプチドのほうが有意に強い抗菌活性を示した。
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