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2011 年度 実績報告書

糞線虫排除におけるIgEの役割に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22590384
研究機関兵庫医科大学

研究代表者

松本 真琴  兵庫医科大学, 医学部, 助教 (40380521)

研究分担者 中西 憲司  兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60172350)
キーワード蠕虫 / 免疫学 / 抗体
研究概要

蠕虫感染は宿主に強力なTh2応答を引き起こす。げっ歯類の小腸に寄生する糞線虫Strongyloides venezuelensis(以下SVと略)の排除には、Th2応答依存的に分化増殖する粘膜型肥満細胞が必須の役割を果たしている。一方でTh2応答依存的に産生される抗体もSV排除に関与している可能性が示唆されてきたが、その実態は長年にわたって不明のままであった。昨年度までの本研究でIgG、IgEを欠くAID欠損マウスは正常にTh2サイトカインを産生し、粘膜型肥満細胞の活発な増殖が認められるにも関わらず、SV排虫遅延を呈すること、AID欠損マウスに感染マウス由来血清を投与すると排虫遅延が回復することを示すことが出来た。今年度は、感染マウス由来血清からIgG、IgEを精製し、AID欠損マウスに投与すると両者とも排虫活性を示し、IgEの方がIgGよりも遥かに高い活性を示すことを明らかにした。さらにIgE活性は高親和性IgE受容体を介して発揮されることを示した。続いてIgEの作用機構の検討を行った。IgEは肥満細胞欠損マウスや好塩基球消失マウスにおいても排虫活性を発揮した。しかし、好酸球欠損マウスに感染マウス由来血清あるいはIgEを投与しても排虫活性は認められなかった。この結果からIgEによる排虫には好酸球が必要であることが明らかになった。以上の結果はSV排除にIgEと好酸球が本質的な役割を果たしていることを強く示唆している。しかし、詳細な作用機構は不明であり、小腸粘膜を場とする未知の抗糞線虫免疫反応の存在を提示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画に無理がなく、予期せぬ事態も起きていないため、予定通り進展している。

今後の研究の推進方策

抗体によるSV排虫活性を解析するとIgGによりIgEが代償されている可能性が示唆された。この可能性を証明するため、高親和性IgE受容体欠損マウスにおいてIgGの機能を抗体により阻害する実験、及びIgG受容体欠損マウスにおいてIgEを抗体により中和する実験を行い、IgGとIgEの機能的クロストークの存在を検討する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Contribution of IL-33-activated type II innate lymphoid cells to pulmonary eosinophilia in intestinal nematode-infected mice2012

    • 著者名/発表者名
      安田好文, 他
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America

      巻: 109 ページ: 3451-3456

    • DOI

      10.1073/pnas.1201042109

    • 査読あり
  • [学会発表] 抗体によるヴェネズエラ糞線虫の排除機構2012

    • 著者名/発表者名
      松本真琴
    • 学会等名
      第81回日本寄生虫学会大会
    • 発表場所
      西宮
    • 年月日
      2012-03-24
  • [学会発表] 抗体によるヴェネズエラ糞線虫排除機構2011

    • 著者名/発表者名
      松本真琴
    • 学会等名
      第40回日本免疫学会総会
    • 発表場所
      千葉
    • 年月日
      2011-11-27
  • [学会発表] ヴェネズエラ糞線虫に対する抗体依存性排除機構について2011

    • 著者名/発表者名
      松本真琴
    • 学会等名
      第67回日本寄生虫学会西日本支部大会
    • 発表場所
      金沢
    • 年月日
      2011-10-07
  • [学会発表] Strongyloides venezuelensisの感染防御における好酸球と好塩基球の役割について2011

    • 著者名/発表者名
      松本真琴
    • 学会等名
      第80回日本寄生虫学会大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011-07-18
  • [学会発表] Basophils are essential for rapidly expelling Strongyloides venezuelensis2011

    • 著者名/発表者名
      松本真琴
    • 学会等名
      JSICR-MMCB2011
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2011-05-25

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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