研究課題/領域番号 |
22590395
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
飯田 健一郎 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (00346777)
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研究分担者 |
齋藤 光正 九州大学, 大学院・医学研究院, 学術研究員 (00315087)
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キーワード | 化膿レンサ球菌 / 乳酸 / Lactate oxidase |
研究概要 |
本年度は、実験計画の通りに、まず本菌の過酸化水素産生に関与すると考えられる酵素であるlactate oxidaseが、本菌が自ら産生した乳酸だけでなく外界から加えた乳酸を使用して過酸化水素を産生できることを示す実験を行い、外界から加えた乳酸も利用しうることを示した。また、同時に乳酸をピルビン酸に変換し、さらに酢酸を産生することによりATPを得ていることも示した。次に、lactate oxidase変異株の作成を行い、変異株ではグルコースから乳酸を産生するものの、再利用する能力を失っていることを示した。細菌の遺伝子はオペロン構造をとっていることが多いが、lactate oxidase遺伝子はオペロン構造をとっておらず、単一のORFに独自のプロモータとターミネータを持ち、強力なカタボライトリプレッションの制御下にあることを示した(従ってlactate oxidase変異株作成に伴う遺伝子操作によりlactate oxidase以外の遺伝子の発現には影響ないものと結論した)。なお、我々は化膿レンサ球菌には過酸化水素産生株と非産生株があることを示しているが、非産生株にもほぼ完全なlactate oxidase遺伝子が存在することを明らかにした。しかしながら、非産生株由来のlactate oxidaseは産生株由来のものとはアミノ酸配列に違いがあり、312番目のアルギニンがトリプトファンに置き換わっていることにより活性を失っていることが我々の研究により明らかになっている。また過酸化水素産生株と非産生株とそれらが分離された病態(使用している菌株は全て臨床分離株である)には明確な関連性が認められないが、野生株(過酸化水素産生株及び非産生株、それらのLactate oxidase変異株を含めた動物実験を行うことにより、Lactate oxidaseが病原性とどのように関与しているか明らかになるものと思われ、その研究にすでに入っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に記入した実験計画はおおむね順調に実施することが出来た。ただ、本年度は本研究に関するサーバーを立ち上げ研究成果を随時公開する予定であったが、年度初めに予算削減の可能性があるとの連絡を受けたため、研究成果を公開するサーバーの立ち上げは翌年度に延期することにした。この点が当初の予定より遅れているが、研究の推進を第一に遂行することを重要と考えての決定であるため、研究課題の遅れとは考えていない。また、予算は最終的に満額使用することが出来ることになったため、予算面での問題も解決している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、Lactate oxidaseのmRNAの発現について検討をするとともに、動物実験でLactate oxidaseと病原性との関連を明らかにすることを第1の目標とする。これにより遺伝学的、生化学的な研究データと病原性に関するデータを合わせて、Lactate oxidaseが本菌の病原性や生態に関与する情報を得ることができ、本菌の実態解明に大きく寄与できると考えている。また、Streptococcus agalactiaeについても我々のこれまでの研究により電子伝達系の構成物質が、生体内物質由来ではないかと考えられているため、この菌についても研究を進める予定である。また、本研究課題の最終年度であるため研究成果はホームページを通して広く公開する。また、論文としても投稿を24年度の早い時期に予定している。
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