研究課題/領域番号 |
22590397
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
磯貝 浩 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (50137436)
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研究分担者 |
磯貝 恵美子 東北大学, 農学研究科, 教授 (80113570)
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キーワード | 感染症 / 微生物 / 抗菌 / CSA |
研究概要 |
CSAによるバイオフィルム形成阻害に関する検討 CSAが口腔細菌によるバイオフィルム形成に対して阻害作用を有するかどうかを検討した。前年度までの研究で虫歯の原因細菌であるS.mutansや歯周病の原因細菌であるP.gingivalisに対して、CSAが抗菌活性を有することを明らかにしてきたが、23年度では具体的にハイドロキシアパタイトや歯科用セメントを用いて、その表面での細菌によるバイオフィルム形成に対する阻害効果を検討し、良好な結果を得た。細菌の培養液中にCSAをコーティングしていないハイドロキシアパタイト片を投入すると、その表面には無数の細菌が付着し増殖をすることでバイオフィルムが形成された。しかし、同様のハイドロキシアパタイト片の表面にCSAをコーティングしておくと、その表面にはほとんど細菌が付着することはなかった。細菌培養液中から取り出したハイドロキシアパタイト片を洗浄して無菌の培養液に投入して培養しても菌の増殖が認められなかったことや、走査型電子顕微鏡による表面の観察で菌の集塊が認められなかったことから、これはCSAのコーティングが細菌によるバイオフィルム形成を阻害したためであることが証明された。歯科用セメントにCSAを混入した素材を用いた抗菌作用の検討においても、その表面には細菌が付着できず、バイオフィルム形成も阻止されていた。さらに、その持続力を検討するために細菌の培養液中に2週間セメント片を浸漬したままにしておいたが、培養液中の細菌の濃度が上昇することはなく、セメント片から浸出したCSAによる抗菌作用がセメント片の表面のみならず、その周囲に対しても抗菌作用をおよぼしていた。このことはCSAをコーティングした歯科材料を使用することで、口腔の衛生状態を良好に持続的に維持させる可能性を示しているものと思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
毎年度の計画に沿った成果が確実に得られてきている。昨年度報告書および今年度報告書に記載した通り、成果は論文および国際学会で着実に報告できている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画は4年間で完了できる見込みである。23年度まででCSAの抗菌活性や医療材料に混入した場合の効果についてのデータが得られてきている。また、CSAの効果と比較するための抗菌タンパクの分子生物学を応用した合成についても進行しつつあり、24年度および25年度にはそれらの活性を比較して医療材料および薬品としての応用に道を開けることが予想できてきている。
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