研究課題
昨年度明らかにした4株のToxh変異株ゲノム上のTn挿入部位のうち、3株の挿入部位については、これまでに機能の一部が公表されている既知遺伝子内にあったが、1株については、機能未知遺伝子内にあった。この機能未知遺伝子内にTnの挿入をもつToxh変異株・GS147について、変異遺伝子をM45エピトープタグとの融合タンパク質として発現するプラスミドを導入し、相補株を作製した。当該相補株の細胞内増殖性を、ヒトマクロファージ様細胞U937内を用いて評価したところ、遺伝子変異により喪失していた細胞内増殖性が、野生株と同程度に回復した。よって、GS147株の特異的性状に関わる責任遺伝子は、本遺伝子であることが示された。また、本遺伝子がコードするタンパク質Aについて、ペプチド抗体を作製し、その発現様式をウェスタンブロッティングにて解析した。その結果、タンパク質Aは、in vitro培養においては、一切その発現がみられない一方、菌をU937細胞及び自由生活アメーバAcanthamoeba polyphagaに感染させ、これら宿主細胞内に取り込ませたところ、その発現が確認された。このことから、タンパク質Aは、菌が宿主細胞内環境に暴露された時にのみ発現する極めて特徴的な発現様式をもつことが明らかとなった。さらに、GS147株の病原性をマウス感染系にて評価した。レジオネラ感染に感受性の高いA/J マウスを用いて、菌を経気道感染させたところ、GS147株と同様に宿主細胞内増殖性を欠損するIV型分泌装置変異株LELA3118感染では、感染後1週間経過した時点においても感染マウス5匹中死亡したマウスは0匹であったが、GS147株及び野生株感染では、共に菌感染一日後に、5匹の感染マウス全てが死亡した。よって、Toxh変異株GS147は、野生株と同様なマウス病原性を保持していることが明らかとなった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (5件)
Biol. Pharm. Bull.
巻: 35 ページ: 1460-1468
DOI:10.1248/bpb.b11-00011
Appl. Environ. Microbiol.
巻: 78 ページ: 5247-5257
DOI:10.1128/AEM.00421-12