研究課題
バルニフィカス菌(Vibrio vulnificus)は魚介類の生食などで、肝臓疾患などの基礎疾患をもつヒトに感染し、その死亡率は50%を超える所謂人食い感染症である。魚介類生食の習慣がある日本にとって食品衛生学上,公衆衛生学上重要な感染症である。この菌の産生する毒素についえては様々な研究があるが、感染メカニズムはほとんど解明されていない。今回トランスポゾン(Tn)変異法を用い病原関連遺伝子を遺伝子の解明を試みた。Tn変異株プールからマウス感染性が1/1000,000以下に低下した株を含む多くの弱毒変異株が分離され、Tnが挿入破壊した遺伝子を調べた。今回毒性が低下した変異株では、以下の6種の遺伝子にTnは挿入されていた。 すなわち、1)プリン合成に関係するIMP脱水素酵素、 2)シアル酸合成に必要なUDP-N-アセチルサミングルコサミン-2-エピメラーゼ、 3)アミノ酸合成や莢膜合成に関係するアスパラギン酸リン酸化酵素、 4)メタロプロテアーゼの1つであるInsulinase family protease(HFP)、 5)II型分泌機構であるGeneral Secretion Pathway(GSP)、 6)未知の機能タンパク、をコードする遺伝子であった。これらの変異株の内、最も毒性が低下したIMP脱水素酵素遺伝子変異株をワクチンとして用いたところ感染攻撃に対し高い感染防御効果あることが見出されたので、この遺伝子の変異株が経口生菌ワクチンとして使用できる可能性あると考えられた。現在、これらの遺伝子がどのようなメカニズムによって病原性に関連するかを現在鋭意研究中である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Anti-Cancer Agents in Medicinal Chemistry
巻: 12 ページ: 940-948