研究課題/領域番号 |
22590401
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研究機関 | 城西国際大学 |
研究代表者 |
額賀 路嘉 城西国際大学, 薬学部, 准教授 (20251150)
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研究分担者 |
大内 希 城西国際大学, 環境社会学部, 助教 (20398556)
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キーワード | 感染症 / 抗生物質 / 酵素 / 蛋白質 / 構造生物学 |
研究概要 |
昨年度の研究成果の報告から大きく進んだのは以下の2つのテーマである。 ○クラスA,Cβ-ラクタマーゼ:カルバペネム複合体の結晶解析 一昨年にICACCにて研究報告をしており、ドリペネムとP99クラスCβ-ラクタマーゼ、SHV-1クラスAβ-ラクタマーゼとの複合体の構造解析は1.1-1.2Å解像度で、異方性温度因子を用いた精密化も完成し、論文執筆もほぼ完成、共同研究をしているDr.Bonomoにチェックをお願いしている。今後できるだけ早く投稿する予定である。またパニペネムもP99、SHV-1複合体ともに、精密化が7-8割まで進んでいる。水素原子がとくにクラスC:ドリペネム複合体において、既報、クラスC:イミペネム複合体から予想されたものとは異なった新たな阻害メカニズムを説明できると期待している。 ○クラスBβ-ラクタマーゼのX線結晶解析 現在、精製方法を確立し、結晶化条件をスクリーニング中である。微小結晶は得られるものの、X線照射実験可能な結晶はまだ得られていない。今後、さらに条件の最適化を進めるとともに、別な種類のクラスBβ-ラクタマーゼへの対象変更もあわせて検討する。 また、研究実施計画には記載しなかったが、行った内容としては ○PenI,PenAβ-ラクタマーゼの結晶解析 Burkholderia cepacia PenIおよびB.pseudomallei PenAβ-ラクタマーゼの結晶解析 Dr.Bonomo主導のアイデアで彼のラボで精製を行い、結晶化と構造解析を私がおこなった。この二つの酵素は、グループ2eに属するクラスAβ-ラクタマーゼである。このグループは私が過去に決定したProteus vulgarisやToho-1など基質特異性β-ラクタマーゼが属しているがこの二つはそうではない。基質特異性の拡張メカニズムになんらかの知見がえらえることを期待している。 ○P99クラスCβ-ラクタマーゼ:アズトレオナム複合体のX線結晶解析 カルバペネム複合体との類似性を示すために行い、昨年のICACCで発表した。結果、既報とは異なった結果がえられており現在、精密化進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MRSA由来のPBPの研究に着手できていないので遅れが若干ある。ただし、当初の本申請内容に関連があるが、申請書に含めていない内容のPenA,PenIおよびP99-アズトレオナム複合体の構造解析などを進めているため、相殺されると考える。
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今後の研究の推進方策 |
当初、申請書に書いた内容で、着手していないMRSAのPBPに関しては今年度、タンパク精製、結晶化を行う。また、最初の申請内容の中でアミノグリコシド修飾酵素に関しては回折像が得られる結晶が得られないため、計画から除外する。そのかわり、すでに完成度を上げる段階にある、PenA、PenIの構造解析および、アズトレオナム複合体の研究を論文発表まで進めることを計画に含め、優先的に進めることとする。 実験系では、クラスBβ-ラクタマーゼの構造解析がその重要性が高いと思われるため、力を入れたい。現在、タンパク質の安定性に問題があると思われるので、安定性を上げる方法を試しているが、材料酵素の変更も含めて検討する。
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