研究課題/領域番号 |
22590401
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研究機関 | 城西国際大学 |
研究代表者 |
額賀 路嘉 城西国際大学, 薬学部, 准教授 (20251150)
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研究分担者 |
大内 希 城西国際大学, 環境学部, 助教 (20398556)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | β-ラクタマーゼ / X線結晶解析 / 抗生物質 / 薬剤耐性 |
研究概要 |
カルバペネム系β-ラクタム剤が効きにくい細菌としてしられている、Burkholderial 属より2種類の染色体性クラスAβ-ラクタマーゼを得、その性質を明らかとし、X線結晶解析を行った。2種のβ-ラクタマーゼは、Burkholderia multivorans PenA β-ラクタマーゼとBurkholderia pseudomallei PenI β-ラクタマーゼである。その結果、PenI β-ラクタマーゼは通常の基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(Toho-1やProteus vulgaris β-ラクタマーゼに似たGroup2eに分類される)、PenA β-ラクタマーゼはGroup2eタイプではあるものの、KPC-1β-ラクタマーゼによく似たカルバペネム分解型クラスAβ-ラクタマーゼの性質と構造をとっていることが明らかとなった。この結果は2013年3月現在、J. Biol. Chem. に投稿中で、査読後のコメントにより一部手直しを行ったところである。 また、クラスCβ-ラクタマーゼのカルバペネムによる阻害機構を明らかにするため、前年度までに行っていたドリペネムにくわえてパニペネム複合体の構造解析を行った。現在、精密化が終わりに近づいているが、この2つのカルバペネムの1位メチル基の有無により、結合形態が大きく異なることが明らかとなった。 さらに、クラスCβ-ラクタマーゼの超高解像度X線結晶解析には、前年度までデータはとれるものの、150位のアミノ酸に修飾がはいる問題点がおこっていた。これを回避するため、別なクラスCβ-ラクタマーゼを試そうとしている。そのため、2012年度にはプラスミド性クラスCβ-ラクタマーゼ2種類の遺伝子合成費用を経常した。現在、精製中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、5つのテーマを掲げていたがそのうち、MRSAに関連したものを行っていないことがマイナス要因である。しかしながら、新たなクラスCβ-ラクタマーゼに取り組んでいること。クラスBβ-ラクタマーゼについて研究を開始したこと、またカルバペネマーゼの構造解析を短期間でやりとげたことをプラスと評価するので、全体的にはおおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
2013年度は、この研究課題について最終年度となる。そのため、結果を発表することも視野にいれて研究をすすめる。クラスCーカルバペネム複合体は精密化が終わりに近いのでできるだけはやくPDBに登録、論文発表を行いたい。2012年度にスタートしたプラスミド性クラスCβ-ラクタマーゼは上手くすすめれば、年度終了までに、成果がでるのではないかと期待している。また、新たなテーマとしたクラスBβ-ラクタマーゼ阻害剤探索というテーマは医療への貢献という意味で非常に重要性が高いので、この申請期間というだけではなく長い目でよいスタートを切りたいと考えている。
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