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2011 年度 実績報告書

真菌PAMPsの免疫毒性と感染症ならびに難治性疾患における意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22590406
研究機関東京薬科大学

研究代表者

大野 尚仁  東京薬科大学, 薬学部, 教授 (80152213)

キーワードβグルカン / マンナン / PAMPs / dectin-1 / dectin-2 / 肝臓 / 遺伝子発現 / apoptosis
研究概要

βグルカン(BG)とマンナン(CAWS)は何れも真菌細胞壁の主要な構成成分であり,免疫系を刺激することから真菌由来のPAMPsとして知られる.真菌PAMPsの有用性は多くの研究者により積極的に解析されてきたが,有害性に着目した例は無い.我々はこの点に着目し,これらの活性はマウス系統差を示し,C57BL/6(B系統)はCAWSによる急性致死が起きるが,DBA/2(D系統)では強い血管炎を起こし慢性期に死亡することを見出した.本研究では,この2系統の差を解析するために、肝臓での遺伝子発現を中心に比較した。前年度にCAWS中心に系統差について検討し発現遺伝子の差を明確にしたので,本年度はSCGを中心に解析を進めた.遺伝子発現を網羅的に検討しpathway解析したところ,SCGに対する感受性の高いDBA/2系統では,apoptosisに関連した,Caspase1,3,4の発現がいずれも著しく高進した.さらに,TNFrsf6,Traf1,Apaf1,Badも上昇した.一方,C57B1/6系統では,TNF,Cradd,Cflar,Bid3,Casp12が高値を示し,著しい系統差を示した.これらのことから,CAWSならびにSCGのいずれのPAMPsに対しても両系統は著しい系統差を示すことが明らかとなった.さらに,我々はSCGはdectin-1の,CAWSはdectin-2のリガンドで有ることを明らかにしてきた.これらのC-type lectin受容体(CLR)の発現はGM-CSFによって発現制御されることから,GM-CSF遺伝子投与による高濃度発現系を構築したところ,CAWS感受性が著しく上昇した.これらのことから,真菌PAMPsはCLRを介して宿主免疫系の制御に密に関連していることが更に強く示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成22年度には毒性発現に差のあるC57BL/6(B系統)とDBA/2(D系統)についてCAWSの作用を肝臓での遺伝子発現を中心に比較し,共通遺伝子ならびに各系統に特徴的に発現する遺伝子を見出した.本年は,それらを更に発展されるために,BGによる遺伝子発現との対比を含めて更に分子レベルでの解析を進めることを目的とした.上記の概要に示したとおり,βグルカン刺激での遺伝子発現を網羅的に解析することができ,さらに遺伝子導入を用いて感受性遺伝子を解析し,おおむね予定通りに研究を進めることができた.

今後の研究の推進方策

本研究では,肝臓の遺伝子発現を網羅的に解析してきた.我々は,マウスならびにヒトの末梢血白血球についても遺伝子発現を網羅的に解析をしており,両方の結果を相互に比較検討することで,研究は更に飛躍するものと考える.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Vasculitis and anaphylactoid shock in mice induced by the polysaccharide fraction secreted into culture supernatants by the fungus Candida metapsilosis2011

    • 著者名/発表者名
      Rui Tada, Yusuke Takano, Hisashi Murakami, Ken-ichi Ishibashi, Noriko Nagi-Miura, Yoshiyuki Adachi, Naohito Ohno
    • 雑誌名

      Microbiol Immunol

      巻: 55 ページ: 357-365

    • DOI

      10.1111/j.1348-0421.2011.00326.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Detrimental Effects of β(1-3),(1-6)-D-Glucans2011

    • 著者名/発表者名
      Naohito Ohno
    • 雑誌名

      Biology and Chemistry of Beta Glucan

      巻: 1 ページ: 68-81

  • [学会発表] Characterization of systemic response of mice to Candida mannoprotein CAWS assessed by gene expression in liver2012

    • 著者名/発表者名
      Ohmura Takashi, Miura N.Noriko, Ishibashi Ken-ichi, Adachi Yoshiyuki, Suzuki Kazuo, Ohno Naohito
    • 学会等名
      The Asia Pacific Meeting of Vasculitis and ANCA Workshop 2012
    • 発表場所
      東京コンファレンスセンター品川(東京都)
    • 年月日
      2012-03-28
  • [学会発表] Candida albicans可溶性多糖画分CAWS投与マウス肝臓における遺伝子発現の網羅的解析2011

    • 著者名/発表者名
      大野尚仁, 大村崇, 三浦典子, 石橋健一, 安達禎之
    • 学会等名
      第55回日本医真菌学会学術集会
    • 発表場所
      椿山荘(東京都)
    • 年月日
      2011-10-21
  • [学会発表] Augmentation of cytokine synthesis of splenocytes stimulated with soluble β-Glucan in vitro by inhibiting actin polymerization2011

    • 著者名/発表者名
      Naohito Ohno, Asami Shibata, Toshie H Hida, Ken-Ichi Ishibashi, Noriko N Miura, Yoshiyuki Adachi
    • 学会等名
      IUMS (International Union of Microbiological Societies) 2011
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(札幌市)
    • 年月日
      2011-09-08

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公開日: 2013-06-26  

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