がん抑制遺伝子であるretinoblastoma protein-interacting zinc finger1(RIZ1)のLPS誘発炎症性反応に及ぼす作用を調べた。マクロファージ細胞株RAW264.7細胞をLPSで刺激し、RIZ1発現を免疫ブロット法で解析した。LPSは有意にRIZ1発現を増強し、その増強はNF-kappaBやAktの活性化により誘導された。siRNAを用いて、RIZ1発現を抑制すると、LPSによるNF-kappaB活性化の不活化を導いた。またRIZ1の発現抑制はp53活性化を抑制した。p53阻害剤はRIZ1発現を減弱した。RIZ1 siRNAはLPS誘発腫瘍壊死因子(TNF-alpha)産生を抑制した。これらのことからRIZ1がん抑制遺伝子はLPSによるNF-kappaBの活性化をp53と協調して増強し、TNF-alphaなどの炎症性サイトカインの産生を亢進することが示唆された。さらに、マウス、人単球系白血病細胞の増殖に対するRIZ1の作用を調べた。RIZ1はTNF-alpha刺激で発現増強が起こり、その増強はNF-kappaBやAkt活性化に依存していた。そのRIZ1発現はp53発現を増強した。他方、p53阻害剤はTNF-alpha誘導RIZ1発現を増強した。RIZ1発現の抑制はTNF-alpha処理細胞の増殖を増強した。このことから、RIZ1はp53の活性化を介して単球系白血病の増殖を抑制していることが示唆された。RIZ1のreceptor activator of NF-κB ligand(RANKL)誘導破骨細胞分化に及ぼす作用も検討した。RIZ1はRANKL処理細胞において発現が増強した。RIZ1発現をsiRNAで阻止すると、nuclear factor of activated T cell1(NFATc1)が抑制された。RIZ1がRANKL刺激による破骨細胞分化をNFATc1を介して制御していることが明らかになった。
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