研究課題
基盤研究(C)
PE_PGRS62 は、結核の病原因子の一つであると考えられている。PE_PGRS62 が結核菌の病原因子であるかどうか決定するために、我々が全ゲノムシークエンスした結核菌Erdman 株DNA の情報を元にまずPE_PGRS62/Rv3812 を破壊するための結核菌ファージを作製した。遺伝子破壊株Δ PE_PGRS62 へPE_PGRS62 遺伝子とそのプロモーターを挿入したpMV306(インテグレーションプラスミド、ゲノムに1コピーの遺伝子を挿入する)でPE_PGRS62 遺伝子を相補した株(Δ62Comp)、また、Δ62Comp 株のコントロールとして、目的遺伝子挿入のないpMV306 を導入したΔPE_PGRS62 (Δ62/mock)株も作製した。これらの遺伝子破壊と相補を確かめるために、我々は野生型(WT)、 Δ62/mock、Δ62Comp のそれぞれの菌株からゲノムDNA を抽出した。これらのDNA をSmaI 処理し、得られた断片を特異的なプローブで検出した。次に、WT、Δ62/mock とΔ62Comp のそれぞれの菌株のPE_PGRS62 の発現量を調べた。 これらの菌株を7H9/ADC 培養液中で培養し、RNA を抽出した。PE_PGRS62 の発現量は、特異的なプライマーを用いてqRT-PCR で測定した。その結果Δ62Comp 株のPE_PGRS62 の発現が回復していた。 WT 株、Δ62/mock 株とΔ62Comp 株が7H9/ADC 培養液中で培養した場合、それらの生育速度に違いはなかったが、J774 細胞に感染させた場合は細胞内でのΔ62/mock 株の生存率が減少していた。マウスにおけるΔPE_PGRS62 株の病原性低下を評価するために、WT 株またはΔPE_PGRS62 株をマウスの尾静脈に注射した。ΔPE_PGRS62 株を感染したBALB/c マウスあるいはSCID マウスにおいて、WT 株感染マウスと比較すると顕著な生存日数の遅延が認められた。これらの結果により、PE_PGRS62 が結核菌の病原性に必要であることがわかった。
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